すでにクラブから発表されているとおり、契約満了により今季限りで愛媛を退団することが決まっている深谷友基だが、チーム最年長35歳の視線はすでに現役続行へ真っ直ぐと向けられている。
深谷は今季リーグ戦9試合の出場にとどまり、先発でピッチに立ったのは明治安田J2第22節のアウェイでの長崎戦1試合のみ。しかし、空中戦に弱点のあるチームの中でフィジカル自慢の深谷は高さで戦える貴重な戦力であり、そのピンポイントの力は試合最終盤でリードを保ったまま逃げ切るためのクローザー役として遺憾なく発揮。また、若く経験値の浅い選手の多いこのチームにとっては頼れる兄貴分でもあり、ときにはチームメイトを叱咤して奮い立たせるなど精神的な拠りどころでもあった。
結果的に深谷は愛媛での2シーズンでレギュラーポジションを確保できなかったが、前向きに捉える部分はある。愛媛に移籍してくるまでは、けがと復帰の繰り返しでうまくコンディションを維持できなかったが、「若い選手ばかりでよく走るチームの中で2年間やってこれた。厳しいトレーニングにも、けがなくついていけたし、体ももう一度動くようになってきていた」と再び戦える体を取り戻せたことは大きなプラス材料になったと考える。それだけに「あと1年あったら、また行けるんじゃないかなと思って自分の中で楽しみにしていたところもあった」と今季限りでの満了に無念さもひとしおだ。
現役続行は現在10歳と7歳の息子のためでもある。子煩悩な父親としても知られる深谷は「うちの息子は常に僕に期待してくれている」と話すが、自身がJ1の舞台で主力として活躍していた当時はまだその記憶に残りにくい幼い歳頃。ゆえに物心のついたいま「もう一度試合で活躍している姿を見せてあげたい」という強い思いが現役へこだわる活力になっているという。
「もう一度試合に出ている自分の姿を想像できる」。その自信を現役続行に向けたトライアウトにぶつけるべく深谷は「そこまでが僕の今シーズン」と現在全力調整中だ。
写真:松本隆志
(愛媛担当 松本隆志)
2017/12/01 16:23