前節(J2第38節)の千葉戦、2本のPKを外し、さらに終了間際に2回目の警告を受けて退場となった福岡のウェリントンは試合後に泣きくずれた。好調・東京V戦でエースを欠くことはチームにとって痛いが、それよりもウェリントン自身のメンタル面がとても心配な状況だった。しかし、アニキこと岩下敬輔が早急な手当てを施していた。
どんな手当だったかを話す前に、千葉戦での2本目のPK時の裏側を岩下はこんなふうに明かした。
「PKはウェリが蹴ることに決まっていたので1本目は当然、ウェリがキッカーに。でも、1本目を外していたからさすがに2本目はプレッシャーが掛かるだろうと思って、自分がまず、テル(仲川)に『お前、いけるか?』と聞いた。『いける』というテルの言葉を確認してからウェリにも聞いた。すると『大丈夫』という答えが返ってきた。もちろんイヤな感じはしていたんだけれども、ウェリの言葉と目を見て、任せることに決めた」
そうして2回目のPKを蹴ることになったウェリントンだが、2本目のキックはGKの逆を取ったもののボールはクロスバーをたたいたのだった。
「ロッカーに引き揚げてから、通訳のガンジーさん(白沢敬典通訳)とウェリとオレの3人で話した。オレが言ったのは『堂々としていてくれ』ということ。PKを決められなかったことは1回のゴメンでみんな許す。それだけの働きをこれまでしてくれているわけだからね。そんなに泣いていたんじゃ、PKを任せると判断したオレや譲ったテルもずっと後悔し続けなくちゃいけないだろ。だから、もう顔を上げてくれ、と」
独特の言い回しだが優しい励ましだと感じたウェリントンは「アリガトウ」と言葉を返したという。
東京V戦のあとに控えるホーム・レベスタでの湘南戦。そこにはきっと古巣相手に暴れるウェリントンがいるはずだ。
(福岡担当 島田徹)
2017/10/26 19:47