神戸が好調だ。直近のリーグ戦で3勝1分、天皇杯4回戦・松本戦を加えて4勝1分と結果を出している。この間の失点はPKによる1点のみと安定し、順位こそ10位だが終盤戦へ向けての注目株といえるだろう。
ルーカス・ポドルスキの存在感をはじめ、キレのある動きで攻守をリードする田中順也など、フォーカスすべきポイントは少なくない。その中で、小川慶治朗のプレーがチームの好調をシンボリックに表現している。
一歩目から加速するスピードが特長の小川。特に最終ラインの背後に飛び出す動きは、チームでも指折りのセンスと実力を持つ。そして、最近の試合で目立つようになってきたのは、自ら果敢に“仕掛ける”プレーだ。「そこは意識している」と話す小川は、右サイドハーフでの出場が多いが、1対1のシチュエーションが生まれれば積極的に個人で打開に向かっている。
もちろん、“仕掛け”にはボールロストのリスクが伴う。それでも仕掛ける理由として、小川は「いまチームは(自陣の)中をうまく閉じることができている」とし、ボールを奪われても攻め込まれるリスクを回避できるバランスが整っていることを挙げた。この話を藤田直之に聞くと、ボランチとして中を閉じていることを語った上で、「全体の距離感が良い。CBは後ろについてきてくれているし、陣形をコンパクトにできていることが大きい」と説明。一つのプレーに付随するリスクを全体でケアできる状況を作れているという。
小川は、自ら仕掛けることで最低でもクロスやCKを獲得できれば、それだけでチャンスにつながることを強調する。チーム全体がまとまることで、“個”が積極的にチャレンジできる好循環が生まれているようだ。
(神戸担当 小野慶太)
2017/10/12 19:40