21日の天皇杯2回戦・東京V戦で今季公式戦初先発を果たし、フル出場で1-0の勝利に貢献した千葉のDF大久保裕樹。リーグ15位に沈むチーム状況を鑑み、「(いまのチームに足りないのは)自己犠牲の意識というか、助け合うところ。技術的な要素で力を発揮することも大事だが、気持ちの面でチームとしてまとまる姿勢を打ち出すことを意識し、表現できたからクリーンシートで終われた」とメンタル面を勝因に挙げた。
プロ生活14年の間で広島、京都、徳島、松本の4クラブで計5回、J1昇格を経験してきたベテランだからこそ、現状に歯がゆさを感じている。
「このチームは、元々の力はある程度はあると思うけど、昇格圏内に入っていく力を引き出せていない。そういうところに必要なのが自己犠牲(の精神)。まとまりが出てくれば、勝手に順位は上がっていくと思う」
では、どのようなプレーで一体感が醸成されると考えるのか。
「例えば、誰かが守備の対応にいって、『抜かれるなよ』っていうところで抜かれた時にそのまま失点するのではなくて、誰かがカバーしてあげる。攻撃だったら、誰かが得点するために無駄に走ってあげるとか。ゴール前でゴールを決められるのに、横パスを出すというのは極端だが、それに近いことをもう少しできれば」
ミスのカバーや仲間へのフォロー……。当たり前のプレーの積み重ねが大事だと語る。「本当は試合に出なくても伝えていきたいが、出ていないと説得力がない。まずはやるべきことをしっかりとトライし、その上で試合に出るチャンスをつかんで、チームがいい方向に向かう働き掛けや、経験してきたことを落とし込んでいきたい」。千葉の9年ぶりのJ1昇格にためには、33歳のベテランの力がいま以上に必要とされる時が必ず来る。
(千葉担当 大林洋平)
2017/06/23 20:40