京都がアウェイ・豊田スタジアムに乗り込む5月3日のJ2第11節・名古屋戦は、因縁めいたものを感じさせる一戦だ。今季加入した田中マルクス闘莉王、小屋松知哉、望月嶺臣をはじめ、京都には前所属クラブが名古屋の選手が6人もいる。特に10年から7シーズンにわたり名古屋で魂のプレーを見せ続けた闘莉王は、名古屋のファン・サポーターにとっても特別な存在。名古屋と決別する際の心模様が大きく報じられた経緯もあり、名古屋戦では一挙手一投足に注目が集まることになりそうだ。
30日の練習後に取材に応えた闘莉王は、名古屋戦について「いろいろ言われるけど、いつもどおり。堂々とやるだけ」としながらも、ともに戦ったサポーターへの感謝の念は変わっていないようで、紡ぐ言葉にも感情があふれる。
「名古屋のサポーターには『ありがとう』という気持ちしかない。自分が名古屋グランパスの選手としてやってきたこと、残してきたこと。そのストーリーは誰にも消せない。サポーターとともに喜んだ瞬間を忘れることはできない」
そしてクラブに対しては、「ある一面で、どうしても(感情を)飲み込むことができない人もいる。そのぶんも頑張りたい」と、いまも複雑な思いが残っていることをうかがわせた。
ただし、ピッチに私情を持ち込むつもりは毛頭なく、「京都の選手という立場で、プロとしてやらないといけないことがある」と力を込める。
開幕から苦戦が続いていた京都も、ここ3戦はFWで起用され始めた闘莉王の活躍にけん引され、2勝1分と上り調子。名古屋に勝利すれば今季初の連勝となる。
「まだ僕は(出場した)試合数が少ないが、試合に出ていないときにみんながすごく苦労している姿は、心に痛みを感じるモノだった。やっと、戦えるチームになりつつある。連勝できれば一番良い。それができるまでに来ている」
闘莉王の目は、京都の勝利だけをしっかり見据えている。
(京都担当 川瀬太補)
2017/04/30 19:58