仙台戦を翌日に控えた6日、浦和の練習も終わりにさしかかったときのことだった。クールダウンのランニングに入ろうとした際、武藤雄樹は走り始めたチームの最後方でシュートモーションを確かめるように足を振っていた。
同じような光景を見たのは前節の神戸戦、26分のプレーのあとだった。武藤はその際も数回、右足を振っていた。その直前、関根のクロスを合わせたが、惜しくもシュートは枠に飛ばなかった。ファーからトップスピードでニアに入る抜群の動きだったが、その状態で合わせることはそう簡単ではない。チャンスであったことは確かだが、絶対に決めなければならない類のシュートだと言うのは厳しいプレーだろう。
それは武藤も認識している。だから「もっとイージーだったら悔しくて仕方なかった」が、少しだけ心に余裕があった。「関根とのタイミングもすごく合っていたし、自分がどのへんにいて、このぐらいで触れば、ということは分かっていた」。ただ、簡単なシュートではなかったが、せめて枠には飛ばしたかった。「もうちょい何とかできたかな」。その思いが体に出たのが、あの右足を振る仕草だった。
話は戻って6日の足振り。そこには神戸戦とは正反対の意味があった。武藤は左寄りの位置でボールを受けるとドリブルで突破し、左足のシュートでゴール右スミに決めた。「ああいう感じで次も決められたらな、って。あそこでこう振ったらあそこまで飛んでいくのか、っていう確認だったと思う」
これまで神戸戦の26分のようなプレーで“点”で合わせるプレーでゴールを重ねてきた武藤。今季は自分でしかけてゴールを奪うことを意識している。その理想どおりのプレー。だからこそ確認も怠らなかった。「あれが明日(の仙台戦で)出れば良かったのに」と笑ったが、良いイメージはできた。
プロデビューし、4年間プレーした仙台。浦和加入3年目、5度目の対戦で「慣れてきた」古巣対決だが、「気合いが入るし、高まるものがある」ことはいまでも変わらない。「今年は良いキレというか、コンディションを保てているので、明日も頑張ります」。心身ともに充実した状態で3度目の埼スタの仙台戦、2連続ゴールを決めている試合へ向かう。
(浦和担当 菊地正典)
2017/04/06 19:22