8日からスタートした甲府のアフターシーズンのトレーニング。来季の監督就任が内定している吉田達磨氏(前・新潟監督)のリクエストでオフ期間を約7週にするために2週間のトレーニング期間が設定された。外国籍選手、故障箇所のある選手、体調不良の選手を除く全員が参加。ベテランを超えたシニアの42歳・土屋征夫も彼の長男の年齢に近い森晃太(19歳)、熊谷駿(20歳)も元気に参加。契約満了が発表された盛田剛平、柴村直弥、福田健介も積極的に動いており、来季への意欲を見せていた。
このトレーニングも佐久間悟監督兼任GM・副社長が指揮を執っている。甲府の選手との契約交渉、補強する選手・代理人との交渉がこれから本格化する中、こちらも精力的。午前は練習にあてて、午後以降がGMとしての編成・交渉業務ということになる。肝心の吉田氏については、「今日もミーティングをします。(獲得する選手は)ある程度絞り込んではいるが、ブラジルと欧州に見たい選手がいるので、吉田さんが直接見に行く予定」(佐久間監督)ということで、この2週間で選手と顔合わせをする可能性は低い。吉田氏は近日中にブラジル、欧州に渡り視察をする予定で、仔細はまだ決まっていないものの帰国が12月にずれ込む可能性もあるそうだ。
吉田氏については、柏と新潟で期待どおりの結果が出なかったことを不安材料とする人もいるだろうが、J1リーグの平均営業収益が30億を超える中でその半分以下の約15億で4年連続の残留を果たした甲府はそれで眼が曇ることはない。柏や新潟では理想を追い求めるだけの一定以上の環境・選手層があったことが方向性や采配の判断・決断を難しくした面があったのではないかと推測するが、甲府にはそこまでのものはない。佐久間GMは「(吉田氏は)理想と現実の中で生きることができる人。理想を持っている人は現実の中で生きることができるけれど、現実しかない人は理想で生きられない。(柏や新潟よりも)甲府のほうが、『いまはこれとこれは捨てて始めよう』ということがやり易いかもしれない。捨て去ることを良しとしての挑戦になるのではないか」と話す。
それをサポートするのがフロント・強化部であり、コーチングスタッフ。来季の編成が決まらないと何をベースにどんな戦い方を目指すのかは誰にも見えてこないが、新監督が理想と現実の間で最初にどんな家を建てるのか興味深い。
写真:松尾潤
(甲府担当 マツオジュン)
2016/11/09 12:36