
懐かしい人が練習場に顔を見せた。“ジュリオ”。甲府で11年間通訳を務めたジュリオ(ソウザ)さんは、安間貴義監督(現・FC東京コーチ)のころは、ブラジル人選手が決定機を外すと監督よりも先にテクニカルエリアに出て行って怒るなど、通訳の枠に納まり切らない闘将的な通訳だった。また、ブラジル人選手の自主練習を手伝うだけでなく、ストロングポイントを生かすためのアイディアも出していたし、先発を外れて落ち込めばメンタル面をケアし、サボれば尻を叩くなど、ブラジル人選手が最大限活躍できるように貢献。
清水での2年間を経て、ブラジルに戻りアイスクリーム店のチェーン経営で成功したジュリオさん。いまは代理人業も始めてJリーグでも実績を積み重ねたいと思っている。送り込んだ選手はまだ二人だが、今後増えていくことは確実。甲府でのブラジル人選手との付き合い方を見れば、信頼できる代理人になりそうな雰囲気は充分。
「自分が送り込むブラジル人選手については活躍するまでしっかりとサポートする。サポート力が強みだし、自信もある」という。そのために、ブラジルと日本を往復することが多くなりそうだが、「お世話になった甲府にも恩返しをしたい」と言っている。練習を見にきていた海野一幸会長とも懐かしそうに、時々、ヒソヒソと話していた。
クラブがJ1残留争いで厳しい立場にいる中、ジュリオさんを知る選手にとってはピッチからクラブハウスに引き上げるときに待ち構える記者にあれこれ聞かれるよりも、「ジュリオ、昔は美少年だったのに…(太ったね)」(山本英臣)、「いやぁ、全然運動してないんで」といった会話を交わしてリラックスできたはずだ。
(甲府担当 マツオジュン)
2016/10/31 21:28