相手を分析し、弱点を突くことで定評のある長崎の高木琢也監督がスカウティングの基本について語ってくれた。
「試合なら、なぜこの選手はこのシーンでこういうプレーを選択したのか? なぜ失点したのか? なぜ得点したのか? 常にその意味を考える」と語るとおり、スカウティングにおいて、スタートとなるのはまず“疑問”だと語る高木監督。
その“疑問”に対する“答え”を探すことが次の段階となるのだが、その“答え”を見付けるには、ヒントとなる“気付き”が重要なのだという。それはデータや映像を見たときのパターンやわずかな違和感であり、その“気付き”ができるかどうかが監督としてのセンスなのかもしれない。当然、その“気付き”から導いた“答え”が正しいかの検証も必要だそうで、答えの裏付けがなければ「単なる思い付き」(高木監督)になってしまうという。
想像するだけで膨大な作業だが、それについても高木監督の仕事ぶりは徹底している。データをチェックするのは無論のこと、常に対戦相手の試合を5試合ぶんは分析し、ポイントとなるシーンやハイライトは何度も繰り返し視聴。その仕事量は膨大で、安達亮ヘッドコーチも以前「昔よりは減ったらしいけど、いまでもほかの監督より仕事量はかなり多い」と評していたほどだ。
圧倒的な作業量と、常に“疑問”と“答え”を追求する思考――。大変な作業であるが、同時に「ソリさん(松本監督・反町康治)とかと試合をするときには、やっていて面白い。お互いに相手の意図を読み合って、交代でも何とか相手の先手を取ろうとして。時には裏をかいたり…。そういう駆け引きが面白い」と、楽しみな点もあるという高木監督。残りのリーグ戦で、どんな采配を見せてくれるのか注目してみたい。
(長崎担当 藤原裕久)
2016/10/29 15:14