「ヘディングが強い」と言えば一般には空中戦をイメージするが、その強さを地上戦にも生かしているのが栗山直樹だ。
膝の高さのボールを頭で扱うことも珍しくない。クロスからのシュート練習では、ショートバウンドのボールにも頭からダイビング。キーパーへバックパスするケースでも、両手を地面につくような一見、不自然な姿勢で難なく返球している。
確かにキーバーがキャッチできるメリットはあるが、そこまでして頭を使うのは逆にやりにくいのではないかと思ったら、当の栗山は「足のほうが難しいと思います。頭で当てにいくほうが簡単な気がするんですけど」とサラリ。時にはボールを蹴りに来た相手との競り合いになり、顔を蹴られる危険もあるが、「相手の足とか周りの状況とかはあまり考えてないです。怖いとかいう感覚もなくて、蹴られたら蹴られたで『危なかったな』というぐらいで」と平然としている。
そんな栗山の「地上戦」の強さを開花させたのは、同じ静岡出身の先達だった。
「ジェフの1年目にコーチの江尻(篤彦)さんから『全部頭で行け』、『頭だけは誰にも負けるな』と言われて、クロス対応の練習も全部頭で練習してました」
リーグ戦では勝利がない状態が10試合続く。最後に勝利したのは、シーズン前半戦と後半戦の間に設定された、延期分の第10節・熊本戦。4-1と勝利したその試合の先制点は15分、CKからの栗山のヘディングだった。5-0で勝利した天皇杯2回戦・群馬戦も含め、早い時間にセットプレーから先制するのが山形の勝ちパターンの一つになっている。
「狙いにいったり、きれいなヘディングをしようと考えると逆に入らなかったり、がむしゃらに触りに行ったときに入ったりする。クロスではがむしゃらに触りにいくことだけを考えてます」と栗山。空中でも地上でも、泥臭く飛び込む覚悟だ。
(山形担当 佐藤円)
2016/09/16 19:44