5月28日に行われたJ2第15節・札幌戦(14時キックオフ)。山口は1-3で首位チームに惜敗した。ただ、山口の選手たちのパフォーマンスにはいつもの運動量がなかった。実はチームは札幌に当日入り。息つく間もなく試合に臨み、特に前半の入りに影響した。
なぜそんなことになってしまったのか。通常ならば試合開催地に近くに取った宿舎に前日入りすることが原則。山口も試合前日の27日に山口宇部空港からフライトし、羽田空港で乗り継いで新千歳空港に入る予定だった。ところが記憶にも新しい大韓航空機のエンジン火災で羽田空港が長時間にわたってクローズ。やむを得ずスケジュールを作り替え、新幹線と伊丹空港発のフライトを組み合わせて札幌入りをすることになった。しかし、当日中の札幌入りは叶わず、大阪に泊まったのち試合当日の午前便で札幌入りしたのだった。
「朝6時半に朝食を食べての移動だった。移動中に寝てしまった選手もいて、そういう選手は寝て起きたという状態で試合に入った。アウェイ戦のルーティンが組めなかった」。そう振り返った鳥養の言葉からは、想像以上に厳しいコンディションになったことが伺える。寝起きで90分も走り続けるのは難しい。ましてや気圧や環境の変化にされされた直後にトップコンディションに持っていくのは困難だったろう。
ただ、それを言い訳にする声は聞こえてこなかった。鳥養は「そういう状態でも勝てるのがプロ。パフォーマンスが落ちていても勝てるようにしたい」と話し、この経験を今後の糧にすることを考えていた。上野監督も「そういうこと(トラブル)もあるので、それは言わないことにしている」と話し、指揮官も敗戦の要因をトラブルには求めていない。練習でも失点シーンをつぶさに分析、3失点もしたゲームを過去のものにするべく細かくとも熱のこもったトレーニングで連敗脱出を目指す。
シーズンは3分の1を消化したに過ぎないが、すでに豪雨や練習場確保難などに見舞われた。ただ、壁があるほど登りたくなるのが山口の意気。また乗り越えてみせる。
(山口担当 上田真之介)
2016/06/01 18:18