北九州の練習グラウンドとクラブハウスがやけににぎやかになったのは3月半ばを過ぎたころだったか。チーム一の大声の持ち主であるFW原一樹が戻って来たからだった。
原は1月のチーム始動時期に足底を痛め、2月初旬に一旦は復帰したもののすぐに再発。以降、市内の別施設で長いリハビリに取り組み、3月半ばになってようやく練習グラウンドで別メニューをこなすようになった。
最初はランニング中心のメニューが続いたが、やがてボールを使い、そしてダッシュが可能な状況にまで回復すると、柱谷幸一監督が言う天真爛漫さがグラウンドにはじけた。チームメートをからかう陽気な声と、大きな笑い声は、チーム状況が悪いだけに余計に明るく響いてグラウンドのムードを変えた。
まさにムードメーカーと呼ぶにふさわしい男が、首位・C大阪との一戦で今季初出場、初先発を飾る可能性が高くなった。「90分フルでプレーしようとは思っていない。とにかく最初から全力で。100%の力が何分間続くのかは分からないが、それでもいい」との言葉は、チーム状況の好転、変化のために何かをしたいんだ、との思いであふれる。“ギラヴァンツの太陽”が6戦勝利なしというチームにどんなエネルギーをもたらすのか、C大阪戦に注目したい。
(北九州担当 島田徹)
2016/04/16 10:50