キックオフ1時間前の試合でG大阪が引き分けたことにより、勝てば残留が決まった磐田戦。金澤選手のスーパーゴールに、渡邉選手による左足のコントロールショットで2点を奪い、大宮は勝ち切りました。マッチレポートでは試合のレポートと残留を手繰り寄せた要因コラム、そして渡邉選手のゴールに隠された秘話など3本を掲載しています。
今回のあとがきは、特別に、「今季最後」ということで、本紙には載せ切れなかった、ミックスゾーンでの北野貴之選手の「魂の叫び」をロングランでお伝えしたいと思います。それでは、どうぞ!
■GK 1 北野貴之選手コメント
――残留を達成できました。
「他力ではなく自分たちの力で決めたというのが、『成長著しい』のかなという気がする。最終節に持ち越して同時刻キックオフの中で決まるという状況は避けたいと思っていたので、何とか今日勝ち切って終わったことは非常に良かったし、チームはたくましくなったと思う」
――終盤に入ってからの守備の安定感は非常に優れていると思いますが。
「データを見ても結果として表れているので、非常に堅く守備から入っている。ディフェンスが高い集中力で90分間戦い抜くことが今後、上の順位を目指すには必要だと思う。このディフェンスラインを継続していければなと思う。オフェンスは何本外しても最後、結果を出してくればいいけど、ディフェンスは何本かのミスで失点を喫してしまったら、リズムが狂ってしまう。だから僕自身もディフェンスからリズムを作ることを徹底しているし、それはディフェンスの選手にも言えること。意識があって守備ができているから、この結果があると思う」
――北野選手自身の好セーブもありましたが?
「ディフェンスの選手が良いコースの切り方、良い守り方をしてくれているから、僕も決定的なピンチで冷静に対応できている。うまくディフェンスを動かせている。それは、この試合に限らず、練習のときにいかに高いライン(を維持できるか)。今日もサイドをえぐられたときに、何回もラインを下げてはダメということで、高いラインにしていた。だからこそ、相手がクロスを入れづらい。ラインが深いと相手のオフェンスが止まる。止まった選手というのはクロスを見やすい。走っている選手がクロスに合わせるのは、やっぱりピンポイントになるから、より難しくなるので、そういう状況を自分たちから作り、練習からできていたものが今日はほとんど試合で出ただけだと思う。ディフェンスラインはほとんど練習通りに作っていた」
――中央を割らせず相手を外に追いやることができていたと思いますが?
「真ん中はなるべく崩さないように、サイドをえぐられても真ん中の選手が引き出されないような状況を作っている。菊地にしても河本にしても絶対に引き出されない。中に戻ってくるようなディフェンスをするために、(チョ・)ヨンチョルと(下平)匠が、(渡邉)大剛と(渡部)大輔がうまく回して必ず戻ってきている。その中で戻りながらラインに吸収されて低くなってしまったら、そこで止まってしまうと相手のキッカーはFWが見やすくなってしまうので、同じラインで戦うことが大事。その位置で常に戦わせるようなプレーを心掛けさせたというのは前々からあった。こういうチームには、それが得策だと思うので」
――このクオリティーをシーズン当初から出せばもっと上位も目指せると思いますが?
「間違いなく、それは結果として出ていると思う。磐田はクロスからの攻撃がJリーグでもトップクラス。真ん中からの攻め方なら、前節のC大阪の方が得意だと思うけど、そういった中で全部の対応がうまくできている。どうやって締めて守るかが頭の中で整理できて、90分間を戦えている。これが今の結果につながっている。あと、一番大事なことは、心臓部分のボランチがバランスをうまく取っている。必ず縦と横の状況を取れているのは、練習のときと同じような声が試合のときに出ているからで、そこが崩れることはない」
――継続が大事なのでしょうか?
「練習の中で良い声が出ているので、試合ではそれを試すだけ。試合で新たなことを、やっているわけではない。練習でやってきたことが全部、今日は出せていた」
――来季は残留争いを回避したいですか?
「今回、J2から上がってきたチーム(鳥栖)も3位に入りそうだし、優勝するチームも目まぐるしく変わっている。それに僕たちが入っていけるように、今季に満足することなく、この10試合で見せた緊張感が抜けない中で、これだけのパフォーマンスができたということは、自分たちの人生に返ってくると思うので、それは良かったと思う」
――例年、終盤になると成績が上がるが、今年は今までとは違うところもありますか?
「今年はちょっと分かった感のある強さだと思う。例年、確かに終盤は強くなっていける感じがする。今年のディフェンスラインが、どう変わっていくのかは分からないが、熟成と言うかあうんの呼吸でやりながら、さらにもっと上のレベルを目指そうというコーチングができている感触はある。非常にたくましいディフェンスラインなんじゃないかと思う。それに対してボランチの使い方、攻めるときの速いクサビの入れ方、今日はクサビの入れ方においてもタイミングが良かったし、相手とすれば怖かったと思う。あれだけ攻めて一発で打開できるパスが入っているので。例年に比べて『終盤に強くなってきたな、大宮』というのとは違うかなと。とはいえ、来年になってみないと分からないけど(笑)。メディアの皆さんにこう言ったことを証明するには最終戦に限らず天皇杯があるので、そこでちょっと、やってやりたいなと思う。そこで結果が出れば本物だと思う」
(大宮担当 郡司聡)
2012/11/27 12:33