Photo: Norio Rokukawa
66分にドゥアルテが退場となったあと、コスタリカは精神的に“守り”に入ってしまった。これはコスタリカにとって非常に危険な状態だった。コスタリカはアグレッシブな守備でウルグアイやイタリアを撃破し、決勝トーナメントに勝ち進んできた。守備をしているときも、精神状態は常に“攻め”。ボールを奪い、素早く攻撃に転じるという意識を持ってプレーしていた。しかし、ギリシャ戦の66分以降は守り切ろうという意識ばかりが働いてしまい、結果的にすべての局面で後手に回った。最終ラインはズルズルと下がって中盤に多くのスペースを与え、クロスやフィードから危険なシュートを打たれ、レイトタックルがファウルとなって何度もFKを献上し、最終的にはロスタイムに同点弾を献上してしまった。良くないときのコスタリカはこのような状態に陥ることが多々あり、悪癖が顔を出した印象だった。
攻めの姿勢を取り戻したのは、延長後半に突入してから。一人少ない状態でも相手に果敢なプレスを掛け、連動してボールを奪い、複数の選手が絡む攻撃を見せようとしたことでギリシャとのパワーバランスは互角に戻った。その状態で120分間を戦い終えたことで、PK戦に向けての精神的余裕が生まれた。そして迎えたPK戦では、5人全員がキックを成功させ勝利をつかんだ。極限の試合を勝ち抜いたコスタリカはまた一つ自信を深め、同国史上初となる準々決勝の舞台で強豪オランダと対峙する。
(池田 敏明)
(BLOGOLA編集部)
2014/07/04 10:48