Photo: ロイター/アフロ
ショッキングな結果だが、これが現実である。日本の挑戦は、3試合で終わってしまった。毎試合、悔しさをかみしめることになった。勇気を持って戦えなかったコートジボワール戦。最後まで守り一辺倒の相手を崩せなかったギリシャ戦。その2試合の思いを胸に力をぶつけていったコロンビア戦。皮肉にも、この試合が最も日本に厳しい事実を突き付ける結果となった。
2点差の勝利。そう頭に叩き込んで、選手たちはクイアバのピッチに飛び出した。気候は真夏並みの暑さ。現地時間夕方4時キックオフと厳しい条件下だったが、そんなことなどこの日の彼らには関係なかったのかもしれない。何が何でも攻めに出る。それしか自分たちが生き残る道はない。やるべきサッカーは、明白だった。立ち上がりから、気持ちが前面に出ていた。今野泰幸が立て続けに相手からボールを奪い、縦パスを入れる。抜擢された青山敏弘と長谷部誠の両ボランチも、強気なパスをどんどん出していく。前では本田圭佑が体を張り、大久保嘉人が動き、岡崎慎司が走る。香川真司は引いた位置から得意のスラロームのようなドリブルで相手のスキをうかがう。「今日みたいな勢いを持って初戦からプレーしたかった。それが正直なところ」。相手の縦パスやロングボールに競り勝っていった吉田麻也が抱いた感想にはうなずける。
PKでコロンビアに先制点を与えてしまったことは手痛かった。それでも日本は前半終了直前、本田のクロスから岡崎が渾身のダイビングヘッドでゴールネットを揺らした。願ってもない理想の形と理想の時間帯での、同点弾。流れは日本に傾くかに思えた。が、甘美な思いはこの後、粉々に砕かれてしまった。
ハメス・ロドリゲス。この一人のプレーメーカーがコロンビアを一変させ、日本を奈落の底に追いやった。後半からトップ下に入ると、日本のバイタルエリアを自由に使い、周囲の選手を生かしていく。慌てて日本は山口蛍を投入したが、目立った効果をもたらすことはできなかった。点を取らなければならない日本。攻めの姿勢を貫きボールを持って敵陣に入っていったが、奪われるとすぐにこの背番号10を中心とした鋭いカウンターを受け、最終ラインは火の車に。1-4。完敗だった。
ひざに手をつき、顔を上げられない選手たち。本田はうつむいたあと、今度は空を見上げたまま動けなくなった。岡崎は語る。「打ちひしがれた。やってきたことを信じてきたし、成長もした。でも世界はもっと成長している。上には上がいる。もっと勝負のやり方があると思う。世界に届いたはずだったのに、届かなかった」。自分たちがいまできる最大のパフォーマンスだったかもしれない。それを相手に、軽々とはねのけられた。W杯でここまで攻めていく日本の姿は爽快だった。その継続が成長を生む。ただ現時点ではまだ力不足でもあった。「自分たちのサッカー」だけでは、勝てない。高く、厚い世界の壁を飛び越えるために。日本はもう一度、しっかりと地に足をつけなければならない。(西川 結城)
(BLOGOLA編集部)
2014/06/27 09:52