Photo: Atsushi Tokumaru
――MF 4 本田 圭佑
不慣れな左SBでプレーした今野泰幸の低調な出来も目立ってしまったが、それ以上に気がかりな選手がいたことは、もう誰もが理解しているだろう。
「本田がトップコンディションになるために、より多くの時間プレーさせるつもりだ」と、指揮官は試合前日の会見で述べていた。その言葉のままに、本田圭佑はコスタリカ戦で90分フル出場。60分には右サイドからの冷静な折り返しで遠藤保仁のゴールをアシストするなど、まずまずのプレーは見せた。
もちろん、本田が“まずまず”の状態では、W杯での日本の成功は難しい。強気で真っ直ぐな姿勢でこの戦いに挑もうとする彼に対しては、自然と周囲の期待値も大きくなっている。だからこそ、現在の体のキレのなさ、迫力のなさが懸念されるのである。
見ていて気になったのが、いわゆる“安パイ”なプレー選択を繰り返していることである。コンディションが優れず体のバランスを崩す場面が多くなる中、相手に詰められた状態になるとすぐに横パスや後ろ向きのキープといった苦し紛れのプレーばかりを選んだ。本田の右隣で常にプレーしてきた岡崎慎司は、悩めるエースの現状に理解を示しつつも、率直にこう語る。
「彼には信頼がある。ただ、もちろんプレースピードはまだまだ上げてほしいところ。もっと攻撃的なパスを出してほしいと彼には言っている。チームはいま、全体的に速い攻撃をしていこうと話しているので、安全なパスばかりでは強豪相手には厳しい」
実際に周囲の攻撃陣が動き出している場面でも、本田の鈍重なプレーや判断の遅さによってパスコースや好機自体が消えてしまうときが何度もあった。高い能力で局面を打開するのがトップ下の役割だ。いまの本田のプレーでは、残念ながら単なるボールの中継役、“さばき屋”の域を超えていない。
試合後、「キツかったね」とだけ言い残して去っていった本田。W杯初戦まであと2週間を切っている。エースの状態にまだ上昇の兆しはない。(西川 結城)
(BLOGOLA編集部)
2014/06/06 12:28