9日、キリンチャレンジカップ2012のベネズエラ代表戦に挑む日本代表メンバー23人が発表され、鹿島からは岩政選手が選出されました。「おめでとうございます」と伝えると、「ありがとうございます」と、はにかみながら喜びのコメント。「何人か出場停止がいる中での招集なので、自分の序列が変わったわけじゃないですけど、どういう状況であれ、何年も代表に関われるのは幸せなこと。だいたいは麻也(吉田)がいないとき、国内組中心のときに呼ばれることが多かったんですけど、今回は海外でやっている圭佑(本田)や真司(香川)たちと一緒にやれるので、貴重な経験になる。この場を大事にしたいなと思います」
そして今節の対戦相手であるジュビロ磐田と言えば、その岩政選手。というのも、目に焼きついて離れないのが、2004年6月19日Jリーグファーストステージの磐田戦。0-0のスコアレスで迎えた後半ロスタイム、コーナーキックをダイビングヘッドでたたき込んだ劇的な決勝弾は、同時に岩政選手にとってのリーグ戦プロ初ゴールでした。その名を世間に知らしめ、同時に日本代表の常連となる第一歩だったようにも思える、衝撃的な一撃についてうかがいました。やはり、鮮烈に覚えているようでした。
「僕のプロにおけるファーストインパクトだったんじゃないかなと思う。当時、ファンにとってもインパクトの大きかったゴールだと思う。ジュビロ戦の次の活躍というのが当分なかったので、ファンの方からジュビロ戦の話ばかりされましたしね(笑) それだけ僕にとって大きな出来事。(プロ)一歩目という意味では、意義深い試合でした」
しかし、これだけでは終わらないのが磐田との“縁”。岩政選手は付け加えます。「ただ、今となっては2連覇目のときの方が思い出深いと言うか、よく覚えていますね」
時はたち、2008年11月29日Jリーグ第33節の磐田戦。またしても後半ロスタイム、ちょうど表示の4分台に入ったところでした。左フリーキックに頭で合わせたこのシーズンにおける2得点目は、自力優勝での可能性を高め、2連覇をグッと引き寄せる決勝弾。「いやあ、まだあんまり信じられないです。ジュビロが厳しい試合をしてきて、本当に苦しかったですけど、今日は勝ち点3が大きな意味を持つことは分かっていたので、取れて良かったです。今年はサポーターのみなさんがたくさん駆けつけてくれて、僕たちの力になってくれたので、感謝の意味を込めたゴールだと思います。今年はゴール数が伸びなかったので、大事なところで一本取りたいと思っていた。現実になって信じられない。うれしいです。優勝が決まるまで気を引き締めて、浮かれることなく、やりたいです」。あらためて当時の試合を見返すと、ヒーローインタビューでは興奮冷めやらぬ様子。尋常ではない熱気に包まれていました。
これほどドラマチックな活躍が2試合もあれば、それもいずれもカシマスタジアムでの得点だったのですから、磐田戦における岩政選手の「インパクト」と「勝負強さ」は見逃せません。前回の対戦では0-3の完敗を喫しましたが、今節はそのホーム・カシマスタジアム。そして6連戦最後の相手が磐田というのも、どこか興味深い一戦です。
(鹿島担当 村本裕太)
2012/08/10 21:34