公式戦を負けなしで終えた5月。活気漲るグラウンド脇で、昨秋に負ったけがからの復帰を目指す吉野峻光は黙々と走り込んでいた。
練習前後に選手と絡むときは軽妙なやり取りで盛り上げ、練習場から引き上げてくる際には、気軽にファンサービスにも応じる。目に見える場ではつとめて明るく振る舞う。しかし、プレーから遠ざかること7カ月。内心、穏やかであるはずがない。
5月のある日、少しだけ彼と話す機会があった。
「(合流はもうすぐできそう?)早くても中断明け。7月くらいですかね。早くグラウンドに戻りたいです(苦笑)。(リハビリは)長かった。一人で黙々とやっていたときも辛かったけど、徐々に復帰して、みんなと同じところでトレーニングするのはもっときつい。チームが勝っているときは、嬉しい反面、そこに加われずに見ているだけの立場がもどかしく、素直に喜べない自分もいました…」
2分ほどの短い時間だったが、彼の気持ちは痛いほど伝わってきた。それでも最後は、「早く(柿谷)曜一朗とプレーしたい! 俺、曜一朗と合う気がするんですよね(笑)」と前向きに締めた。
僕らも早く吉野のプレーが見たい――。
(C大阪担当 小田尚史)
2013/06/08 13:00