千葉が序盤から数的不利を強いられた10日のJ2第3節・山口戦。誤解を恐れずに言うなら、68分にピッチに送り込まれた小島秀仁は怒っていた。
実際はそうではなかったかもしれない。だけど、少なくとも筆者の目にはそう映った。そのぐらい14番の所作には鬼気迫るものがあった。
伏線は1-4で大敗した第2節・新潟戦後からの1週間にある。小島が今季初先発した新潟戦は1-4で大敗したものの、自身のパフォーマンスは悪くなかった。むしろ、相対的にはチーム内でトップクラスの出来だった。ところが、翌週の実戦練習では控え組に組み込まれた。小島は言う。
「監督にも(理由を)聞きにいきましたし、悔しい気持ちがありました」
ただ、その悔しさをぶつけられるのは自身でも他者にでもなく、ピッチ内でのプレーでしかないのは分かっていた。だからこそ、シュート性のクロスからのアシストシーンが代表するように、一つひとつのプレーからは小島の気持ちがほとばしっていた。しかし、力及ばず、結果は2-5の大敗。「どんな状況で出たとしても、全力でやらないといけないと思っていました。その部分を出したかったのですが、あのような結果になってしまったので、アピールできませんでしたね」と唇をかむ。
まだ3試合を終えたばかりとはいえ、千葉は3戦未勝利の最下位に沈む。だからこそ、苦境を脱するためにいま最も必要なのは小島のような強烈な反骨心なのだろう。小島もそれは重々承知している。
「まずは原点に帰って走らないといけないし、球際で勝たないといけないし、セカンドを拾わないといけません。サッカーで勝つための当然のことを全員で全力でやって、一人ひとりが戦う気持ちを前面に出さないとこの状況は変わらないと思います」
そして、明日に控えるのは開幕3連勝中の水戸戦。14番の先発復帰は不透明だが、ベクトルは内側に向いている。「やらないといけないことがたくさんありますし、まずは自分たちに目を向けないといけない。自分たちがどう戦うかだけだと思います」。終始、厳しかった小島の表情がチーム内の危機感を物語っていた。
(千葉担当 大林洋平)
2019/03/16 12:21