千葉の大卒ルーキー・鳥海晃司が存在感を増している。前節・福岡戦(3△3)まで8試合連続先発中。千葉の懸案でもあった近藤直也以外の“もう一人のCB”のポジションをつかみつつある。
東京Vとの開幕戦ではアクシデントもあって、開幕デビューしたものの、リーグ前半戦の出場機会は限定的。ただ、先発して勝利に貢献した第26節・新潟戦(2〇1)以降、尻上がりにパフォーマンスを向上させてきた。
「試合勘は公式戦に出ないと培われないと実感しています。1年目に雰囲気も含めて公式戦に慣れることができたのは大きい。それがあるからこそ試合を想定しながら練習できるようになり、一つ上の段階で練習できるようにもなりました」
いまは一つひとつの経験が即、上積みとなる“成長期”の真っただ中。ただ、それにしてもだ。シーズン序盤と比べると、心技体すべてにおいて安定しており、急激な成長速度だけでは片づけられないのも事実だ。そのもう一つの要因についてはこう分析する。
「もともと緊張しいで、(過去にも)なかなかチームにも溶け込めなかったんです。大学のときは苦労して、1年経ってやっと自分を出せました。だから、自分を出すには時間がかかるのかなと思っていて、最初の1年は『仕方がない』と覚悟も決めていました。ただ、試合に出ることによって思ったより、自分を出せるようになってきたのは感じています」
実力で先発のチャンスをつかみ、そう何度もないチャンスで首脳陣の評価につなげなければならない壁を突破したことが、本来の能力を出せる好循環を生んだという。
そして今節の相手は「自分の力のなさを出してしまった試合」をした横浜FC。5月のアウェイ戦ではイバ、レアンドロ・ドミンゲスの強烈な個の力にプロの洗礼を受けた。でも、それから4カ月たったいまは、“あの時の自分”とは違う。「チームが形になってきているし、もう一度、自分を試してみたい」と言える“いまの自分”がいる。
取材中、メディアから大先輩の近藤や明治大の先輩である矢田旭が「『スピードがあって、頼もしい』と褒めていた」と伝え聞くと、「普段何も言われないので、うれしいです」と照れながらも破顔した。その素直な心がスポンジのような吸収力を生み、成長を支えている。
(千葉担当 大林洋平)
2018/09/21 19:37