前節・磐田戦で[4-3-3]の布陣を組んだ神戸。左インサイドハーフにアンドレス・イニエスタを配置し、ルーカス・ポドルスキを右FWに置いた。とはいえ、ポドルスキは実質的には右サイドのチャンスメーカーとして機能させていた。これについて吉田孝行監督は「バランスが非常に良かった」と手ごたえを口にしている。
指揮官が強調したのは、両サイドのコンビネーション。右サイドは、ポドルスキの内側に郷家友太、サイドバックに三原雅俊、左サイドはイニエスタの外側に古橋享梧、サイドバックにティーラトンを起用した。「それぞれ3人ずつの関係が良く、そのバランスをナオ(藤田直之)が見た。ルーカスとアンドレスは遠くてもお互いを見合うことができる」とし、チームとして取り組んできた幅を使った攻撃が機能した背景を語った。
チーム全体の走行距離は、99.511㎞と100㎞を割る少なさだったことも驚きだった。指揮官は「内容的にも手は抜いていない中で、うちが賢くサッカーをした証拠だと思う。(ポゼッションの)最初のポジショニングが良かった。そこはずっと取り組んできて浸透しつつあるし、無駄な動きがなくなってきている」とし、積み上げたサッカーの前進を実感しているようだ。
この距離感に関連し、アンカーを務めた藤田はイニエスタのポジショニングに触れる。「アンドレスは自分が顔を上げたとき、インサイドでパスを出せる位置にいてくれる。 『テンポを速くしよう』と監督からは言われているし、アンドレスにもマークはついているので、その場合はリターンをもらいに行けばいい。フリーなら運んでくれるし、良い距離感でやりやすい」。初となるイニエスタとポドルスキの共演だった磐田戦は、2人に限らず選手やチームの成長を確認できた試合とも言えそうだ。
その神戸は今節、磐田戦に続いてホームに首位・広島を迎える。吉田監督は広島の特長に警戒心を強める一方で、「まだ1試合良かっただけ。相手の分析はするけど、 いまチームは自分たちのスタイルを築いていく段階に入っている」と語気を強めた。布陣は色々なパターンを用意しているという指揮官だが、貫くのは攻守が連動したパスサッカー。堂々と首位撃破に挑みたい気持ちを語っていた。
(神戸担当 小野慶太)
2018/08/14 16:15