サッカーファンにとって今週最も大きなニュースはもちろんロシアW杯開幕に違いない。東京Vでプレーするリ・ヨンジも、開幕戦のロシアvsサウジアラビアを見ていたという。
「といっても夜遅くなので、ちょっとだけ。サウジとは1月のアジアカップで同じグループリーグに入ってるので、どんなもんかなと。それが朝結果を見たら0-5で、悲しくなっちゃいましたね。ロシアは勢いもあったけど、同じアジアとして悲しいなと」
現役北朝鮮代表のリ・ヨンジにとって、4年後にカタールで行われるW杯は「本気で狙う」チャンスだ。祖国と世界の距離も気になる。その意味でも彼にとって「すごく大きなこと」というニュースが今週もう一つあった。6/12に行われたトランプ大統領と金正恩委員長による米朝首脳会談。70年間も敵対関係にあった両国の首脳が初めて握手を交わした、まさに歴史的な出来事だ。
「自分たちの国の可能性が広がる。政治は関係ないといっても、政治の絡みによって親善試合にも行けなかった国も実際にあるし、僕らが選手として評価を得られない国もある。そこ(国際政治の中での北朝鮮の立ち位置)が変わっていけば、親善試合ももっといっぱいできるし、たとえば僕らの国の選手がアメリカとかいろんな国のリーグで活躍しだしたら、アジアの中でも上に行けると思う。そういう意味でも大きな一歩だったと思う」
もちろん可能性には過ぎないが、それが広がっただけでも「大きな一歩」。4年後に戦うかもしれない世界の強豪のプレーを見ながら、リ・ヨンジは祖国の行く末に思いを馳せる。
(東京V担当 芥川和久)
2018/06/16 09:15