試合に出られなくても、練習姿勢はいつも真面目で全力。南米がルーツなだけに、時には陽気に振る舞い、盛り上げ役も買って出る。そんな明るい努力の人である千葉のMFホルヘ・サリーナスが5月27日の前節・熊本戦で、一年越しのうれしい千葉初ゴールをマークした。
「厳しく辛い時期を過ごしてきたと思う。試合に出場しないのに練習をして、彼はプロフェッショナルをずっと貫いてきた。(その姿勢は)彼のゴールで勝ったことに値する」(フアン・エスナイデル監督)
「チャンスがこない中でも辛抱強く自分のベストフォームをずっと保っていた選手。いつチャンスがきてもいいように努力を惜しまない人間。あの場にいたすべての人がすごく喜んでいた。大事な大事な僕の友人だし、本当にいいヤツ。その喜びに値する人間だ」(ラリベイ)
二人のコメントに集約されるように、周囲も喜びにあふれた。それはサリーナスの並々ならぬ忍耐と努力を知っているからこそ。昨季は9月を最後に出場機会がなく、今季も開幕からベンチ外が続いた。紅白戦ではサブ組にも入れない時期もあったが、それでも腐らなかった。
そして、待ち焦がれていたチャンスをモノにする。4月28日の明治安田J2第11節・甲府戦。その約8カ月ぶりの公式戦で後半ロスタイムに同点弾をお膳立てすると、第13節・大宮戦ではアシストこそつかなかったが、決勝点を演出。そして、途中出場した熊本戦でダメ押しとなる3点目を奪った。パラグアイアンアタッカーは不遇の日々をこう振り返る。
「やっぱり誰にとっても簡単なことではないです。試合に絡めず、ずっと練習を続けることは難しいことです。大きな存在だったのはずっと支え続けてくれた家族。だからこそ、それを貫く姿勢を家族に見せたいとゆう想いがありました」
自分のことのように喜んでくれた仲間に対しても、感謝の言葉を続ける。
「自分が諦めずにチャンスを待って、努力し続けたことはみんなも分かってくれています。チームのすべての人が祝ってくれたし、監督をはじめとするスタッフが自分のハードワークを認めてくれたこともうれしいです」
ただ一喜一憂はしていないし、地に足はついている。
「スタメンだろうが、ベンチだろうが、どんな形であれ、チームに貢献する姿勢は変わりません」
いい意味で外国人らしくない外国人。“サリちゃん”の愛称で親しまれる、誰からも愛される人である。
(千葉担当 大林洋平)
2018/06/01 17:36