「何で僕が復帰した途端に暑くなるんですかね。先週まで涼しかったのに」
6対6のゲームで2人に囲まれながらもボールをキープし、さらに持ち運んでから左足を振り抜いてゴールを決めた25日の練習後、そう言って笑う高木俊幸の顔は、まだ白かった先週と比べると頬骨の辺りが赤くなり、全体的に随分と黒くなっていた。
右足の打撲で約2週間離脱し、チームに交流してから約10日。その間の2試合はメンバー入りできなかったが、今回はどうしてもメンバーに入りたい。ピッチに立ちたい。相手がほかでもない清水、そして舞台が日本平だからだ。
「浦和戦ぐらいしか戦ってなかったし、ホームって感覚はなかったんですよね」と話していた15年の舞台、エコパスタジアムとは違う。日本平は高木にとって、「J1でプロとして一番長い時間をともにしたピッチなので、思い入れはすごくある」特別な場所。加えて浦和が日本平で公式戦を戦うのは8年ぶり、リーグ戦にして9年ぶりとなるだけに、次に機会が訪れる保証もない。
初めての古巣戦、15年のホームでの清水戦は出場機会が訪れず、ペトロヴィッチ前監督から「使ってやれなくてすまなかった」と気遣われた。アウェイではスタメン出場の機会を得たが、持てる力を出しきれなかった。今季の前半戦は途中出場したが、開幕前に負った右足第5中足骨疲労骨折から回復して3試合目かつ古巣戦で自身も苦笑してしまうほど「空回りした」。
今回はどうか。連戦が続くなか、那須大亮、森脇良太、宇賀神友弥、柏木陽介、ズラタンと負傷者が続出しているだけに、「けがをして迷惑を掛けてきたぶん、チームが苦しいなかで自分みたいなフレッシュな選手がやるべき時期」と自覚している。その“スタート”を清水戦で切ることができるか。肉体的にも精神的にもその準備はできている。
文:菊地正典
(浦和担当 菊地正典)
2017/08/25 20:24