山形の加賀健一には、“恩師”という言葉では足りないくらい世話になった指導者がいる。
「今までの自分のサッカー人生を考えたら、非常に影響を受けたと思うし、あの人がいなかったら今までサッカーはできてないのではないかというぐらいずっとお世話になっていたので、本当に感謝している」
その恩師・柳下正明監督が率いる金沢と、山形は今節対戦する。
02年、秋田商高からJ1磐田にプロ入りした加賀は、翌03年の1年間、初めて柳下監督の指導を受ける。当時、公式戦出場はなかったが、05年にJ2札幌に期限付き移籍すると、1年先に就任していた柳下監督の下でJリーグデビュー、主力として2シーズン活躍した。07年には再び磐田に戻り5シーズンプレーすることになるが、最初の年の9月、シーズン途中でトップチームコーチに就任した柳下氏と再会。09年からの3シーズンは、三たび“監督と選手”としての関係が続いた。
柳下監督との日々について、加賀は「もう毎日怒られていました。何回も同じことを言われて」と振り返る。特に鍛えられたのは守備のポジショニング。若い加賀にはそれを理解し、体に染み込ませることは簡単ではなかったが、「俺も成長しようと思ったから、その当時から言われることに関しては、全部受け入れてやっていました」と貪欲に取り組んでいた。守備では足の速さを生かしたボール奪取に目を奪われがちだが、それを支えていたのは、徹底して叩き込まれたポジショニングの意識だった。
加賀がFC東京へ移籍した12年、柳下監督は新潟で指揮を執ることとなり、2シーズンでリーグ戦3試合、カップ戦1試合で対戦。14年以降は対戦がなく、今回は4シーズンぶりの対戦となる。
「当時はまだ俺も若かったので、向こうからすれば、意外に歳を取ったなという感じだと思う。柳下監督も歳を取っているけど、俺も歳を取っているし」
年齢を重ねただけのものを、あと2カ月弱で34歳になるDFは見せるつもりだ。
(山形担当 佐藤円)
2017/08/10 19:39