日本代表のFW久保裕也が、大きな注目を浴びながらも自然体でタイ戦に臨む。
27日、日本代表は翌日に控えたW杯アジア最終予選・タイ戦に向けた公式練習を行った。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も「かなり重要な一戦」と力を込めて臨んだ23日のアウェイ・UAE戦でチームを勢いづける先制点だけでなく、後半には勝利を手繰り寄せるMF今野泰幸のゴールをアシストした久保。新たなヒーロー誕生として、各メディアでもすでに大きく取り上げられている。タイ戦も右サイドアタッカーで先発することが濃厚で、インパクトのある結果を残して迎えるホーム戦に、否が応でも期待の視線が注がれる。
しかし、そんな雰囲気もどこ吹く風。久保はこの日の取材でも冷静な姿勢を貫いた。
「初ゴールを早く決めたかったので、そういう意味では良かった。でもあまり周囲の期待とかは意識せずに、チームが勝てるように頑張りたい。まだまだコンディションは上がると思うし、監督からも『フィジカルがまだ足りない』と言われた。そこをもっと伸ばしたい」
アルベルト・ザッケローニ元監督が日本を率いていた12年に一度、代表入りした経験がある。当時は10代での抜擢で話題を呼んだが、結局チームに帯同したのみで試合出場には至らなかった。
昨年11月の親善試合・オマーン戦で代表デビューを飾り、続くW杯最終予選・サウジアラビア戦で先発に抜擢。そして先週のUAE戦でゴールとアシストを挙げるシンデレラストーリーを展開した。
しかし、まだ1試合結果を出しただけである。久保本人が、何よりそれを強調する。「結果を出し続けることが大事。1試合だけなら意味がない」と兜の緒を締める。
タイ戦はUAE戦とは打って変わり、相手は守備的に引いた状態から戦ってくることが濃厚だ。守備からの素早いカウンターが効いた日本だったが、今回はまた違った方策が必要となる。
「相手は引いてくる。攻撃陣で攻め方のバリエーションを持つ必要がある。特にサイドを起点にして、そこで人数をかけて崩したりできればいい。試合状況を見て、周りの選手としっかりコミュニケーションを取ってやりたい」
前日、DF長友佑都が現在の久保の姿を見て、「自分の若いころを思い出す。ギラギラした感じが好き」と話していた。それについて話が振られると、「それは僕が判断することではない」とニヤリと笑いながら語った。ぼくとつした語り口が印象的なストライカー。タイ戦でも落ち着いた姿勢で結果を出し、日本代表でさらなる存在感を発揮していく。
(日本代表担当 西川結城)
2017/03/27 21:06