甲府のここ4年間の第3次J1時代を振り返ると、守備の堅さが際立ったのは14年(13位・城福浩監督)の31失点。得点数は27ゴールとリーグワースト2位だったが、失点の少なさはリーグ2位タイ。その堅守で少ないゴールを生かして、今季よりも10ポイント多い勝点41を稼いだ。その堅守を支えた一人がDF青山直晃(13~14年在籍)。現在、タイ・プレミアリーグで浦和的な立ち位置のムアントン・ユナイテッドFCでプレーする青山が11日の練習に顔を見せた。10月中旬に帰国して故郷の愛知県で約2週間を過ごしたあと、大阪、静岡、仙台、山形で友人と会うなどして来甲している。妻と6歳の娘も一緒に甲府市内のホテルに泊まっていて、甲府時代の友人に会うことを楽しみしているそうだ。
青山がいたタイでは、国王・ラーマ9世(プミポン国王)が10月13日に亡くなったため、3節を残していたタイ・プレミアリーグは喪に服すために終了。この時点で首位(2位と勝ち点5差)だったムアントンが優勝となり、来季のACL出場権を獲得することが決まった。「タイ・プレミアリーグに挑戦するときに目標にしていたのは優勝(昨季は2位、ACLはプレーオフで敗退)を経験することとACLだったので、少しは近づいたと思います。来季のACLではJリーグの代表チームと戦うのが楽しみです。チームメイトは前回(13年)埼玉スタジアムの印象が良かったようで、浦和と対戦したいと言ってます」という。
タイでもJリーグの中継を見ることができるそうで、今年の甲府のメンバーや戦いについて印象を聞いた。「バウルさん(土屋征夫)、オミさん(山本英臣)がいなければ残留は難しかったと思います。ただ、若い選手がベテランからポジションを奪えていないのか…とも思いますね。来年の甲府は絶対に若い選手の力が必要になると思います」と話してくれた。”若い選手”とは畑尾大翔や熊谷駿のことを意識したコメントだと思うが、熊谷が古巣の横浜FM戦で中澤佑二と競り合ってプロ初ゴールを決めたことも知っていて、「来年、熊谷はFWなんですかね、DFなんですかね」ということも気にかけていた。
11月20日から練習が再開されるムアントン。いったん愛知県に戻って、17日にはタイに向かうそうだが、こうやって顔を見せてくれると、甲府の元チームメートもACLではJリーグの代表チームを応援しつつ、ムアントンの青山を応援するという複雑なACL観戦になりそうだ。ムアントンとの契約はもう1年残っているそうだが、その後はJリーグに復帰する可能性もそれなりにありそうな、「その時点で僕に需要があるかどうか…」ということだったが、甲府のファン・サポーターは戻ってきてほしいと思っているはず。この日、練習場に来ていたファン・サポーターは運よく青山に会うことができたが、丁寧にファンサービスをしてから帰る姿に「アオちゃん、いい人」とあらためて感じた。
写真:松尾潤
(甲府担当 マツオジュン)
2016/11/12 13:08