「愛媛に来て、本当に良い指導者に恵まれた。もっと若いときに出会いたかった二人」
河原和寿がそう話す二人のうちの一人は現指揮官の木山隆之監督。「木山さんは僕のサッカー観を完成に近づけさせてくれる存在」と自らを高みに導いてくれた恩師として尊敬の念を抱く。そして、もう一人は今節で対戦する京都の指揮官・石丸清隆監督だと話す。
「僕自身をサッカー選手としてもう一度花咲かせてくれたのはマルさん」
成績不振により12年限りで栃木を追われたのち、愛媛で再出発した河原を指導したのが石丸監督。一時はサッカーを辞めようとさえ思ったほど落ち込んでいた状態だったが、石丸監督のサッカー観に触れ、あらためてサッカーの楽しさを思い起こすことで再び躍動。14年にはキャリアハイの公式戦15ゴールを挙げて完全復活。昨季は指揮が木山監督に変わったが、新たな指揮官も河原の長所を伸ばし、2年連続の二桁ゴール。押しも押されもせぬチームのエースへと君臨した。
しかし、河原は昨季オフにおこなった足の手術後にトップフォームを崩したことで、わずかにズレたフィーリングを取り戻せないままシーズン終盤を迎え今季ここまで2ゴールと苦しんでいる。
「悪いまま(シーズンを)終わらせるわけにはいかない」。残り少なくなったリーグ戦で気持ちがいつも以上に入るのも当然のことだ。
何より、今節の対戦相手・京都の指揮を執るのは自身を復活させてくれた恩人・石丸監督。「感謝の気持ちをピッチの上で真剣勝負の中でぶつけ合えれば」と意気込み。恩師の前で再びサッカーの楽しさを思い起こし、見失ったトップフォームを取り戻しにいく。
文:松本隆志(エルゴラッソ柏担当)
(柏担当 田中直希)
2016/11/12 07:08