日本代表の本田圭佑が、ハリルジャパンの戦い方に変化を加えていく意向を示唆した。
8日午前にイタリアから帰国し、茨城県内で行われている代表練習に合流した本田。この日は軽いメニューをこなすのみとなったが、その頭の中は今回の代表戦でのプレーに思いを馳せていた。
「今回は試したいことがいくつかある。オマーン戦(11日・親善試合)のたった1試合では全部は試せないけど、その試したいことの優先順位付けをこの数日でやりたい」
これまでのハリルジャパンでは、ミランでのプレー同様に右サイドのFWに位置してきた。攻守にスピードと体力を必要とする同ポジションは、本田の能力と完全にマッチしているとは言い難い。一方、先月行われたロシアW杯アジア最終予選・豪州戦では、代表では約4年半ぶりに1トップを務め、久しぶりに中央でプレーして1アシストも記録した。試合後、本田は「(中央のポジションは)これまで長年プレーしてきたからね。むしろサイドでは腹くくってやっている、ここ2年ぐらいは。20年近くは今日のような感覚でプレーしているから」と、中央での自分に一定の手ごたえを感じていた。
今回、サイドか中央か、どちらでプレーするかはまだ分からない。本田はこうイメージしている。
「ポジションはメンバーも含めて最後まで監督が悩んで決めると思う。普通に考えたら、右(FW)の可能性がある。自分もそのイメージを持ちながら準備はしている。
ただ、監督とはしっかり話そうと思っています。どこのポジションで出ても、チームコンセプトが変わらなければ(自分の)特長が生きることはあまりない。コンビネーションのやり方、そのときの選手の動き方、ボールの持って行きどころ、そのあたりをちょっとだけ変化をつけたいなと思っている。自分と(ポジションが)近い選手との意思疎通とか、テストマッチで意識していることを変える意味でトライしてみようかなと思います」
つまり、縦に速い攻撃を前面に出す戦い方から、ボールポゼッションの時間帯や連係で崩す場面も加えていく。そのあたりの折衝を、指揮官としていくつもりだ。
現在、ミランでは依然試合出場から遠ざかっている。10月25日に行われた第10節・ジェノア戦では先発を果たすも不発。チームも0-3で敗北を喫した。
実は、本田は先月の豪州戦の前半に痛めた足首が完治しないままプレーをし続けていた。痛みに強い本田が珍しく卒倒した豪州戦、ハーフタイムには自らヴァイッド・ハリルホジッチ監督に交代を進言したほど。指揮官にそれを拒否されプレーをし続けたが、その影響もありイタリアに戻ってからも腫れが引かずにいた。
その足首の状態については、「良くなっているけど、毎度ひねっているので職業病みたいに当たり前になっている。ようやくまた一定のところまで状態が戻ってきたので心配はない」と話した。
プレーできるコンディションまで戻ったこともあり、本田は今回の代表でチームに変化を与えようとしている。はたしてそれが試合で表現されることがあるのか、また指揮官へのアプローチは成功するのか。5日のオマーン戦、本田のプレーと日本の変化に注目が集まる。
文:西川結城(エルゴラッソ日本代表担当)
(BLOGOLA編集部)
2016/11/08 21:17