海にほど近い新門司練習場の近くにある食堂は、多くの港湾関係者が利用する『ザ・大衆食堂』といった趣の店で、メニューが豊富なことから北九州の多くの選手にも人気で昼食に利用されている。
中でも利用頻度が高いのがGK鈴木彩貴だ。今日の練習後にも行くと言うので、何を食べるつもりかと聞くと、「さぁ、大将次第ですね」の答え。どういうこと? 「お店に行くと大将に『今日は何を作りたい気分?』と聞いて、大将が選んだメニューを食べるんですよ」。なぜ、そんなことを? 「やっぱり、気持ちよく作ってもらったほうが、大将もハッピーだろうし、結果、よりおいしいものができて、僕もハッピーだから」との答え。
他者に『気持ちよくなってもらって良い仕事をしてもらう』という思考は、実はピッチ上でも発揮されている。GKのコーチングについて鈴木に話を聞いた時の答えが印象に残っている。「言葉の表現としては、厳しい言い方にはなる。『そこはもっと寄せろ』とかね。でも、気持ちよくそうしてもらえるような声のトーンやタイミングになるように心掛けているつもり。上から目線の命令では動いてくれないし、それは結果的にチームとしても、僕個人の仕事にも良い影響が出るとは思えないですからね」。
前節の長崎戦で好セーブを連発した鈴木。その理由を探っていくと、『チームメートが気持ちよくプレーした結果』というところにたどり着くのかもしれない。
(北九州担当 島田徹)
2016/11/04 17:58