第36回総理大臣杯・全日本大学サッカートーナメントの準決勝がキンチョウスタジアムで行なわれました。
第1試合は専修大学vs駒澤大学。
前半はボールを保持して攻撃を組み立てる専修大がペースを握り、17分にFW仲川輝人(2年、川崎U-18出身)が先制点。29分にも左サイドからのクロスを再び仲川が決めて、2-0で折り返します。後半になると駒澤大学もロングボールだけでなくパスも使って攻撃を組み立ててペースを取り戻しかけますが、70分に2枚目の警告による退場者が出てしまい、2点リードで10人と苦しい展開へと追い込まれます。そして、次の1点を奪ったのは専修大学でした。中央でパスをつないで駒沢守備陣を崩すと、MF長澤和輝(3年、八千代高校)の絶妙なスルーパスを受けた仲川が決めてハットトリックを達成。終盤にも立て続けに追加点を決めるなど、6-0という大差で駒澤大学を下しました。
シュート数が25対4と圧倒した専修大学は2011年に関東2部から1部へ昇格すると、いきなり関東大学リーグやインカレ(全日本大学選手権)で優勝するなど頭角を現しているチームです。その特徴は攻撃力。2年生ながら10番を背負う仲川も「関東リーグでも1試合平均3点くらい取れている。得点に関してはみんな自信を持っています」と胸を張っています。また自身の特徴について「積極的にドリブルで仕掛けるのは自分の良さ。そこをもっと出せれば、もっと上に行けるはず」と語っていました。練習場をアメフト部と共有している関係で練習は午前だけ。午前といっても授業があるので毎朝7時から約1時間半だけ行ない、午後は自主練という環境ですが、短時間でも向上心を持ってトレーニングに取り組んでおり、昨年のインカレに続くタイトル獲得に王手をかけました。
第2試合は早稲田大学vs阪南大学。
先制したのは地元開催ということもあって部員らの大声援を受ける阪南大でした。17分に右SB飯尾竜太朗(4年、神戸ユース )からのアーリークロスをFW工藤光輝(3年・札幌U-18)が今大会4得点目となるゴールを頭で押し込みます。その後もサイド攻撃からゴールに迫りますが追加点は奪えずに前半終了。後半になると早稲田も反撃に出てペナルティエリア内へ侵入する回数が増え始めます。それが実ったのが66分。右サイドへ展開されたカウンター攻撃からの折り返しを中央で受けたFW富山貴光(4年・矢板中央高)が小さいドリブルでシュートコースを作ると右足を一閃。GKが一歩も動けない見事なシュートで同点に追いつきました。
その後は一進一退の攻防が続く中、後半終了間際に早稲田に2度のビッグチャンスが訪れました。しかし最初のシュートは判断よく前方へ飛び出したGK原田直樹(3年・広島観音高)がセーブし、そのこぼれ球を再びゴール前へ送り込んで無人のゴールへ放たれたシュートは飯尾がクリア!試合後に阪南大・須佐徹太郎監督が興奮気味に「あのプレーが全てだった」と褒め称えたスーパープレーにより、試合は延長戦に突入します。
延長戦でも互いにチャンスを作りますが、両GKの好守もありスコアは1-1のまま。そんな中、延長前半に投入された阪南大FW奥野将平(4年・興國高)が試合を動かしました。延長後半4分、カウンターからFW泉澤仁(3年・新潟ユース)が中央をドリブルで突き進み、そこからのパスを受けた奥野がエリア内でGKのニアサイドを突き破るシュートを決めて、スコアは2-1。早稲田も必死の反撃を見せますが、あと一歩届かず。阪南大が決勝戦進出を決めました。
2001年以来の優勝を目指す阪南大の特徴は、タレントの揃う両サイド。右サイドはMF可児壮隆(3年・川崎ユース)とSB飯尾。飯尾が高い位置を取ってコンビネーションから中央へクロスを供給すれば、可児は中へと入っていって「相手の嫌がる中途半端な位置」(可児)でボールを受けてチャンスに絡む。左サイドは逆にドリブル突破に秀でた泉澤を「(あえて)孤立させる形」(須佐監督)で、ボールを送り込んで1対1の局面から勝負を挑ませます。状況によっては後ろに控える左SB二見宏志(3年・奈良育英高)がフィジカルの強さを生かした攻撃参加でサポートしますが、彼は累積警告により残念ながら決勝戦は出場停止。怪我人が多く「ジョーカーとなる選手を先発から使わざるを得ない」(須佐監督)状況ですが、「そいつらの為にも負けられない」(飯尾)とチーム一丸となって決勝戦に挑みます。
決勝戦は、16日(月・祝)18時から長居スタジアムで開催。攻撃的なチーム同士がぶつかるカードとなり、好ゲームが期待されます。
(京都担当 雨堤俊祐)
2012/07/15 14:19