2012年12月12日、ギラヴァンツ北九州横手敏夫社長によると「サポーターの日」、小倉北区のリーガロイヤルホテルにおいて、柱谷幸一監督の就任記者会見が行われました。
記者会見の内容は、クラブ公式サイトにも掲載されているので、ここでは、その中の要点を挙げたいと思います。
◆株式会社ギラヴァンツ北九州 横手敏夫社長
・11月15日に行われた三浦泰年監督の退任発表時に話した、求めていた人材を連れて来られた。
・今までのチームの上積みに期待し、愛される、支持されるクラブに。
・地域の市民クラブゆえ、予算は大幅に増やせない。
・しかし、その中で身の丈の経営をしながら、結果も残してもらいたい。
・クラブがやっている活動を、チーム(選手)にも行ってほしい。
・三浦前監督には、J2で戦えるチームとお願いした。柱谷新監督には、J1に手が届くチームに。目先の結果にはこだわらない。若手選手を育成しながら、勝つチームへ。
◆柱谷幸一新監督
・2011年に浦和のGMを辞めた後、現場に戻りたいと思っていた。
・京都ではJ2からJ1へ、栃木ではJFLからJ2と、上げるための仕事をやって来たので、北九州の中で自分の仕事ができるか? 勝っても上がれない中でのモチベーションを、確認していた。
・答えとして、リーグの中で1つでも上の順位を目指し、良いサッカーで評価を得られると。
・選手には出場機会を得て、次のステージに上がってもらっても構わない。
・2017年の新スタジアムに合わせ、13~15年はベース作り、16年にJ1を目指し、17年に新スタジアムでJ1を戦いたい。
・3年のオファーを頂いたが2年の契約にしてもらい、お互いの仕事の評価ができるように。
「目指すサッカーについて」
(1)結果にこだわる。
・ただし、内容にもこだわる。
(2)状況によって対応できるサッカー
・ボールを持たなくても、イニシアチブが握れるように。
(2)フェアプレーの中で勝ってこそ価値がある。
・イエローカードをもらうのは、守備の強さがない。ファウルの40パーセントは失点につながる。反則ポイントを減らしたい。
「補強について」
・レンタルは活躍しても、ベースがチームに残らないので、5年後を見越して新卒の選手(大学生・高校生)を、複数年契約で獲得したい。
・途中で移籍したとしても、クラブに何か(違約金など)が残るように。
・Jリーグからも、若い選手を中心にオファーを出している。
・ポイントになるポジションには、経験のある選手を。
・チームスタッフは、自分自身も含め、コーチ、フィジカルコーチ、GKコーチも4人体制で。
「チーム作りで大事なこと」
・トレーニングが一番だと思っている。
・練習試合も数多く取り入れたい。
・日曜日は公式戦、月曜日は出場機会のなかった選手に、1週間に1回は試合をさせたい。
・若手だからと言って、ポジションは与えない。奪ってほしい。
「今季の目標」
・具体的な数字は考えていない。
・目の前の1試合1試合に全力で挑み、サプライズを起こしたい。
「北九州の置かれている環境」
・専用の練習場を持たないクラブは他にもある。与えられた環境の中で、指導者としての力量を発揮したい。
・京都での経験もあるので、GMや強化部長と意見交換しながら、アカデミーに関しても直接動きたい。
・環境が良くなれば、他のジュニアユースチームからや、他府県からも入って来ることが多くなった。
・まずは、北九州の小中学生に目指されるクラブにして行きたい。
「弟の柱谷哲二氏(水戸監督)について」
・指導者として対戦できるのを楽しみにしている。
・今回の件も、報告・相談をした。
・選手(浦和)時代に天皇杯で一度だけ対戦したが、敗れてしまった。
「北九州について」
・本山、平山、池元など、良い選手が出ている印象。ただ、福岡や他県に流れている。
・火曜日は休みにして街に出たい。北九州全部の小学校を回って、一緒に給食を食べたり、サッカーをしたりしたい。
・商店街やイベントにも積極的に参加する。
・チームとして結果を残し、楽しんでもらえて、感動を与えたい。
・サポーターや子供たちに「強くて楽しくてフェアなクラブ」だと言ってもらえるように。
・最近2年間、勝っていても観客動員が伸びていないので、地域密着を大事にしたい。
◆記者会見を終えて
柱谷幸一監督は、笑顔で長く話されていたので、今回の北九州からのオファーを心から喜んでいるんだなと感じました。モチベーションの部分で、かなり悩まれたみたいですが、良いサッカーで結果を残して、新スタジアムの機運を早めたいようです。また、選手には、出場機会を得られるように努力を求め、活躍いかんでは途中で移籍しても構わないと語っていました。ただし、何らかの形をクラブに残してほしいとのこと。向上心の強い選手の獲得が期待できそうです。
2年後に、お互いの仕事の評価を確認したいとのこと。変に長期契約はお互いにとっても良くないので、自分から申し出たのには責任の表れでしょう。目指すサッカーや補強は、今年のメンバーの10人位が残り、あとは新加入にどんな選手を連れて来るのか? 全体像は、島原キャンプやプレシーズンマッチから出て来るのでしょう。また、人事については、フィジカルコーチを大事に考えていました。ここは、重要ですね。
私が一番、柱谷監督に期待していたのは、アカデミーの育成でした。そこの部分で、京都の例を出していましたし、いつかトップの練習が見られる場所に練習場を作りたいと話されていた部分は、ぜひともクラブにお願いしたいです。やはり、間近で目標になれる存在があることは大事です。ただし、この実現にも時間を有します。柱谷監督には、今年は無理でも、来年以降は地元の大学生や高校生を獲得していただいて、鍛えてほしいと思っています。
火曜日のトレーニングを休みにして、地元の小学校や商店街に出て触れ合い、地域に密着したいという話なので、来年はいろいろな所で選手の素顔が見られそうなので、今から楽しみです。ただし、三浦前監督を擁護する訳ではないですが、三浦前監督も来季以降はいろいろな露出を考えていたという話を聞いていました。もちろん私も、結果と露出の両立してほしかったと思っています。
いよいよ、新生ギラヴァンツ北九州が始動しました。まだ、全体像は明らかではありませんが、これからの5年は1日1日が勝負だと感じています。来年の、チーム始動日が今から待ち遠しいと感じた、新監督記者会見でした。
(北九州担当 坂本真)
2012/12/13 15:21