前節・山形戦で7試合ぶりのリーグ戦勝利を4-0という大勝で飾った愛媛。ここしばらくは先制点を奪っても守りきれない試合が続いていたが、この試合では終始攻守に渡って攻撃的な姿勢を貫いた。
とはいえ、その週の練習は天皇杯を挟んだ過密日程ということもあり、技術的な上積みはできる状況ではなかった。そんな中、大きく変わったのはメンタル面。そのきっかけとなったのが、この試合でニンスタに演奏に駆けつけてくれた福島県南相馬市のマーチングバンド「Seeds+」の存在だった。
東日本大震災での被災により、その活動を一時中断せざるを得ない状況に追い込まれながら再び立ち上がったバンドメンバーたちは、試合当日だけでなく、試合前日にも練習場を訪れてチームにエールを送った。石丸清隆監督はそんな状況の中、「少し自分たちが恥ずかしいと思った。あの子たち(Seeds+)のほうが苦しい状況にあって、本来なら自分たちが勇気を与えなきゃいけないのに」と試合前の複雑な心境を明かし、そのことは試合前のミーティングで選手にも伝えた。
試合当日が誕生日だった西田剛は練習前にSeeds+メンバーらから“誕生日おめでとうございま〜す!”の祝福を受け、それに投げキッスで応えると“キャーッ!!”と黄色い声が。「アイドルになった気分でしたよ(笑)」と少しおどけながらも、「これで負けたら合わせる顔がないでしょ。それはみんなも同じ気持ちだったと思う」と発奮し、西田自身の1得点を含むゴールラッシュで快勝。チームは最高の形でSeeds+のメンバーたちに“恩返し”を果たすことができた。
(愛媛担当 松本隆志)
2014/09/18 07:00