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12分にPK、37分に退場
2年前のユーロ2012で激戦を演じた好カードだが、ドイツがポルトガルに完勝し、G組の首位通過に大きく前進した。「われわれは前半ですでに敗れてしまった」。ポルトガル代表のパウロ・ベント監督がそう語るのも無理はないほど、ポルトガルにとってはほとんど何もできないまま得点を加えられ、37分のペペの退場で緊張の糸も切れた。「レフェリーについて何も言わないほうがいいだろう」とベント監督が振り返ったのは12分のPKに関して。開幕戦のブラジル対クロアチアでは日本の西村主審のPK判定が物議をかもしたが、今回はゲッツェを倒したペレイラが取られた。ペナルティーエリア外と同じ基準でファウルを取るということだろうが、前半の早い時間帯にこういう形で失点したことはポルトガルにとって大きなダメージとなった。
ポルトガルをハメたドイツの策略
ただし、そうした判定を差し引いても、この試合に関してはドイツがあらゆる面でポルトガルを上回っていたと言っていい。ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドは立ち上がりに相手のミスパスから得たチャンスで惜しいシュートを放ったものの、ドイツの右SBに配置されたジェローム・ボアテングに厳しくマークされ、危険な位置でほとんどボールを持つことができず、いら立ちを募らせた表情を見せるしかなかった。逆サイドのナニも本職がCBのヘーベデスに抑えられた。ドイツは相手の両翼を封じた上で、中盤のポゼッションで相手を上回り、そこから前線の流動的な仕掛けでリズムを作ることで、ポルトガルの守備陣を脅かし続けた。
本来の右SBのレギュラーであるラームはバイエルンでもお馴染みの中盤アンカーに置かれ、相手の中盤から浮いたポジションでゲームの組み立てを任された。前線の中央にはMFのミュラーを起用し、通称“ゼロトップ”とも呼ばれる形を採用したのは、中盤のポゼッションを高めながら大型CBを混乱させるのが狙いだろう。“策士”のヨアヒム・レーブ監督は開幕戦からしっかりポルトガルを分析し、対策を立ててきた。しかも局面の厳しさや攻守の切り替え、仕掛けのスピードといったドイツらしさを失うこともなかった。攻守で奮闘したCBフンメルスが73分に負傷交代したが、本人は「打撲だから数日で治せる」とコメント。24年ぶり4度目の優勝に向け、欧州の雄はブラジルの地で大きく着実な一歩を踏み出した。
一方のポルトガルはペペの退場に加えてFWウーゴ・アウメイダ、左SBのコエントラン、GKのパトリシオが負傷し、残り2試合の出場が絶望的な状態。米国、ガーナという難敵を相手に、キャプテンのC.ロナウドを中心に一丸となれなければ、早々と大会を去ることになるだろう。(河治 良幸)
(BLOGOLA編集部)
2014/06/19 17:35