屈強な猛者が集うプレミアリーグで、フラムのFWディミタール・ベルバトフは異質の存在だ。彫りの深い端正な顔立ちと、190cmの長身モデル体型。前髪をオールバックで固めるその姿は、まるでイタリア映画にでも出てきそうである。人目を引くのは外見だけではない。趣味のイラスト描きはプロ級の腕前で『Facebook』に投稿したデッサンが英国で大きな反響を呼んだかと思えば、煙草をふかす姿をパパラッチされたのは一度や二度のことではない。プレミアの異端児──。英人記者の中には、こう呼ぶ者さえいるほどだ。
映画『ゴッド・ファーザー』で英語をマスターしたというベルバトフは、同作品から強い影響を受けたと明かす。中でも、お気に入りはPart3に出演した米国人俳優アンディ・ガルシア。「似ているとよく言われる。実際、俺の髪型は当時の彼にインスパイアされたもので、煙草の吸い方まで真似たものさ」(ベルバトフ)。たしかに、二人の写真を並べてみると、よく似ている。
そんな彼がピッチに立つと、ゴッド・ファーザーさながらの静かで重厚な存在感を放つ。「ディミタールが見せるような美技で局面を打開できる選手はわずかしかいない」と絶賛するのはアレックス・ファーガソン氏(マンチェスター・U前監督)。運動量は決して多いと言えないが、美しいボールタッチでゴールとアシストを呼び込む技術は、まさに一級品である。類稀なる攻撃センスで、苦戦が続くフラムの救世主になれるか。
昨季、そのベルバトフがちょっとしたハプニングを起こした。サウサンプトン戦で得点を挙げると、おもむろにユニフォームを脱ぎ捨て、アンダーシャツに書かれた文字を指さした。「落ち着いて、俺にパスを集めろ」。まさかの演出に苦笑いを浮かべるチームメートたち。BIG対象試合である同カードでも、ブルガリアのベテランFW は“オレ流”を貫くに違いない。
(BLOGOLA編集部)
2014/01/31 11:22