9月11日、トレーニング最後のメニューは、GKとの1対1で、中央からドリブルしてフィニッシュまで持ち込むもの。すると突然、奥野監督がコース上にマーカーやクーラーボックスのふたなどをまき散らし始めた。
何かが奥野監督の逆鱗(げきりん)に触れてご乱心……ということでは、もちろんない。ひととおり終えたところで、選手たちはたくさんの障害物が散らかったままのグラウンドを、ゴールに向かって次々とドリブルし始めた。
奥野監督は「最初からドリンク(のボトル)置いてあったから、そのままにしておこうと思ったら、親切にスタッフが片付けてくれたので、『片付けなくていいんだよ』というところで、もう少し足しておきました」と涼しい顔。「よく言われたじゃないですか。『審判は石ころだと思え』みたいなね。フリーである必要もないし、障害物っていうのは『あるもの』だから、よけてやればいいだけ」
アクシデントを含めたどんな状況にも対応できるようにとシーズン前から取り組んでいるため、その意図は十分理解できた。が、それにしても珍しい光景だった。
いきなりマーカーなどをまき散らし始めた奥野監督。選手たちもすぐに意図を理解し、あたたかく見守っていた
山形きってのドリブラー・廣瀬選手も障害物の間を縫ってドリブル。この日が誕生日だった
(山形担当 佐藤円)
2012/09/12 18:21