U-23日本代表がグループ1位で3大会ぶりの決勝トーナメント進出を決めて、ロンドン五輪もたけなわ。大分ユース出身の清武弘嗣選手と東慶悟選手の活躍に胸を熱くしている関係者も多いのではないでしょうか。めくるめく躍動する強豪各国の若い才能たちに目を見張るばかりの今日このごろですが、そんなタレントたちとの対戦経験を持つ選手が、実は大分にもいるのです。
それは松原健選手。U-17、U-19と大分ユース在籍時代から何度も日本代表に選出され、2010年に2種登録でトップチームに帯同するようになってからも、しばしば遠征で大分を離れています。今季もU-19日本代表として、UAE、南アフリカ、インドネシアとあちこちへ出掛けました。いままでに遠征したのは「イランに、中国に、南アフリカに…ざっと10カ国くらい?」と本人も指を折りながら首をかしげるほど。
2009年のU-17W杯ナイジェリア大会ではブラジルと対戦。寄せが甘いとすぐに前を向かれてしまうなど、テクニックでもフィジカルでも力量のある相手に2-3と善戦しました。「ネイマールもすごかったけど、当時はコウチーニョの方がブレイクしてて。ちょうどマッチアップしたんだけど、思い切り股を抜かれました」とさらりと話してくれましたが、いや、なかなかに貴重な経験です。
5月から6月にかけて南アフリカで開催された「8 Nations International Cup」でアルゼンチンやブラジルなどと戦い、先月AFC U-22選手権予選を終えてインドネシアから帰ってきてからは、猛暑にも関わらずコンディションを上げているようです。本職の右SBに比べ、大分の3-4-3システムではより高い守備能力を求められますが、「もっと寄せてボールを奪ったり相手の攻撃を遅らせたりしなくては。わからないことがあればチームメイトに聞いて、自分なりに整理して試行錯誤しています」と意欲的。ポジションを争う土岐田洸平選手についても「いいところを盗んで自分のよさをプラスしていきたい」と研究熱心です。するすると機を見て攻め上がるスタイルは「足が速くないのでタイミングを計るようにしている」と、けがの功名的に身につけたものだそう。そういえば身長が低くて伸び悩んでいた中学2年生のとき、インフルエンザで寝込んでいるあいだに身長が伸びて現在の長身を手に入れたというエピソードもありました。こういうのも打たれ強いというべきか、転んだらただじゃ起きないというべきか。
「代表遠征から帰ってくるたびに、球際の強さやプレー中の落ち着きなど成長が見える」と田坂監督も期待を寄せる松原選手。そろそろ試合にも絡んできそう。代表での経験を生かして、今季後半戦の大分を昇格へと導いてくれるよう期待しています。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/08/03 00:33