先週末に行われた柏レイソル戦は完敗でした。他会場の結果により、C大阪は今季初めて降格圏に落ちてしまいました。“降格圏”という言葉の響きはショックが大きく、また、試合を見終えた直後という興奮状態も相まって、取材後にホテルで原稿を書き終えた後は眠りにつくことができませんでした。そのまま始発の新幹線で帰阪し、シンプリシオ選手のC大阪デビューとなる練習試合を見るために、南津守練習場に行きました。
試合当日はロンドン五輪のなでしこジャパンの試合と重なったため、報道陣の数も少なく、アウェイのC大阪に至っては、取材者は記者と広報さんの2人でした。人数が少ないと、じっくり選手に話を聞けるチャンスなのですが、この試合に関しては、選手に対して声を掛けづらい状況でした。その中で、的を絞って、監督には試合前のゲームプランを、選手には、後手に回る場面の多かった試合についての率直な感想を、聞きました。聞いているうちに、多少のズレを感じずには、いられませんでした。
ソアレス監督は、ゲーム前のプランは「堅守速攻」だと話しました。
「ゲームプランとしては、中盤までブロックを落として、固く守ってから速く攻める、堅守速攻を考えていた。しっかり守った後のカウンターはできていたと思うが、残念ながら、われわれがカウンターを仕掛けたところでミスをしてしまい、逆にカウンターを食らってしまった。前半の2失点とも、同じ形で起こってしまった。さらに、リードされてからは、ゲームプランは崩れてしまっているので、前がかりに行かざるを得ない。そこで、さらに2失点を喫してしまった。レアンドロ選手やワグネル選手など、中盤のクオリティーの高い選手を抑え込むためにコンパクトなディフェンスを考えていたが、リードされてしまった以上、そのプランが崩れたことは否めない」
一方で、藤本選手は、「速攻一辺倒では厳しく、ポゼッションする時間を増やしたい」という話もしています。
「パスがダメならダメで、後ろに戻してもいい。そこから攻めてもいいと思う。少し縦に急ぎ過ぎているというか、イチかバチかのパスも多い。セカンドボールが拾えないというより、自分たち主体でボールポゼッションしたサッカーができていない。そうならないと、夏場はきつい。相手がこう来るから自分たちがこう守るというより、自分たちが主体の試合がしたい。それが今はできていない。だから、今日もアップダウンが激しく、相手に走らされた。全員で意識を統一して、やっていかないといけない。全部が全部、速攻を狙うのではなく、速攻ができないなら、一度戻してゲームを作ってもいいかなと思う」
もちろん、例えばソアレス監督は、「ボールを保持する時間も必要」という話はしていますし、藤本選手も、「自分たちの攻撃が最も効くのはカウンターだとも思う」という話を以前にしていました。ですので、両者の発言を対立軸として捉えてほしくはありません。速攻もポゼッションも、両方大事ことに変わりはありませんので。ただし、バランスの問題として、現状のチームが、しっくりいっていないことは確かです。元いた選手はポゼッションに対する自負もある。監督はチームに新たなエッセンスを加えたい。5月以降、どこかすっきり勝てないのは、両者の程よいバランスを取り切れていないからだと思います。
8月、最初の2試合は、札幌とG大阪との“裏・天王山”が待ち受けています。しっかりと、チームで意思統一された試合を見せ、勝利をつかんでほしいものです。
(C大阪担当 小田尚史)
2012/07/31 13:37