ザーゴ体制2年目。“勝つために”針を振った補強策
今季はクラブ創立30周年を迎えるため、クラブ全体から並々ならぬ意気込みが感じられるオフとなった。例年であれば、勝つことと育てることのバランスを見ながらの補強策が、思い切って勝つことに針を振り、力のあるブラジル人選手を補強した。17年から4季連続で国内タイトルを逃しており、ワースト記録をこれ以上伸ばすわけにはいかず、是が非でもタイトルを、という強い気持ちがうかがえる。
ザーゴ体制も2年目となり、昨季の路線は継続される。よりポゼッションの質を高め、ボールを失えば即時奪回を目指す戦い方は変わらないだろう。その意味において、サントスの一員としてリベルタドーレス杯決勝にも出場したディエゴ・ピトゥカの獲得に成功したことは大きい。ブラジル国内でも評価の高い彼が加われば、最終ラインからのビルドアップはかなり安定するだろう。また、競り合いに強いアルトゥール・カイキの存在は、ビルドアップが成立しなかったとき、エヴェラウドや上田綺世をターゲットにしたロングフィードの回収役としても期待できる。二人の加入によって地上戦、空中戦ともにボールを前に運ぶ術を進歩させられるだろう。
最終ラインの顔ぶれは多少見劣りするかもしれない。思い切って攻撃に重心を移すことで守備の場面を減らす工夫が必要だ。ただし、責任あるポジションをあえて任せることで、選手はそれに応えようと取り組み、飛躍的な成長を遂げることを鹿島はよく知っている。昌子源(現・G大阪)らはそうして育った。今度は、町田浩樹や関川郁万らがその期待に応える番だ。
昨季はスタートダッシュでつまずいたことが最後まで響いた。今季は最初から飛ばしたい。
文・田中 滋
写真・Atsushi Tokumaru
(BLOGOLA編集部)
2021/02/24 15:00