※エル・ゴラッソ本紙12月25・26日発売号掲載分。
Photo:J LEAGUE
―ベストイレブンの受賞、おめでとうございます。
「努力が報われました。感謝の気持ちでいっぱいです。ただ、僕は個人賞よりもチームのタイトル獲得を目指してやってきましたし、その気持ちでやり続けていきたいと思っています。授賞した今日は、喜びを爆発させて家族とそれを分かち合い、お祝いをしますけれど、来季はクラブ全体で喜べるようなシーズンにしたいと思います」
―Jリーグにはブラジルの有名選手もたくさん在籍していましたが、1年目からベストイレブン授賞というのは、なかなかないことです。ジーコ、ザーゴ、ベベット、フッキ、チアゴ・ネーヴィス…彼らもベストイレブンは授賞していません。
「それは初耳ですね。非常に驚いていますけれど、おっしゃられた面々はブラジル代表で偉大な成績を収めている方々です。彼らの域までには到底達していませんよ。僕の頭の中には、チームとしての結果を出したいということしかありません。大切なのは、僕の評価よりもチームの評価なんです。来季は、何がなんでもチームでタイトルを獲りたいです」
―今季は、世界的にもコロナウイルスの影響でサッカーをすることが難しい時期がありました。それでもよくチームにフィットしましたね。
「ブラジルから見れば、日本は地球の真裏です。来日当初は時差ボケとの戦いでしたし、そのあとは食事の問題もありました。環境に慣れる、チームメイトに慣れる、新しいサッカースタイルに慣れる……慣れることがたくさんあって、今季の序盤は調子が悪かったと自分でも思います。でも、ある意味助かったのは中断期間があったこと。個人的に練習する機会を多くとることができて、チームメイトと接する機会が増えました。これは選手としての感覚的な問題ですが、ボールを受ける、受けたいタイミングや、仲間のちょっとしたプレースタイルの癖が分かるようになった。それにチームとしても、監督が求めているものを深く理解できるようになりました。そういう意味で、3月からの中断期間は自分の助けになりましたね。かなり慣れることができましたから」
―「努力」という言葉をお使いになりました。どんな努力をされてきたのでしょう。
「ピッチに立つための努力を指します。僕は、日々の練習を休んではいけないと思っています。練習を休んでしまえば選手としての後退になるし、競争の序列の最後に回ってしまう。ですから、どんな状況でもピッチに立つことが大事なんです。幸い、最後までケガなく、今季はほぼ全試合に出場(J1通算33試合出場)することができました。日々、体をケアしながら強化して、さらなる技術、能力アップを図る。そのためには、練習しかありません。練習をしないと自分が向上しないのです。『努力』とは、それを指すものだと考えています」
―その努力が実って、シーズン中盤からエヴェラウド選手自身の成績、チームの成績ともに上がっていきましたね。Jリーグは、試合展開などのスピードが速いとよく言われます。フィットのために意識していたことは?
「それも、日々の練習しかないんです。日本のサッカーはダイナミックでスピーディー。タイミング、テンポが速い。それに慣れるためには、練習するしかありません。ブラジルと違って、FWはぴったりとマークにつかれますし、戦術的なところも整備されていて、なかなかスペースを見つけられません。その中で、当初は自分のプレーを示すことがなかなかできませんでした。その時期でも、練習の積み重ねについて意識して取り組みました。テンポと強度に慣れるために戸惑いもありましたが、それに慣れたいまは、日本のサッカーが楽しい。Jリーグ全体として面白みがありますし、僕のプレースタイル、サッカーの考えにも合っていると感じています」
―エヴェラウド選手はボックス内だけのプレーヤーではなく、高さとクロスに合わせる技術があり、強烈なシュートを持ち、パワフルで、サイドからのドリブル突破も長けている。FWとして総合的な能力を保持しているだけに、Jリーグはプレーしやすいと推察するのですが。
「いえいえ、そんなに簡単ではないですよ。Jリーグは甘くない。守備の選手がアグレッシブについてくるので、FWとしては考える時間がなかなかとれません。ブラジルでプレーしたころのように、ボールを受けてからプレーのイメージをして、というのはJリーグではできなくなりました。タイミングやテンポが速く、強度もあって難しいですからね。甘く見ていると、日本に来たら恥をかきます。その中で、私はサイドでもプレーできるし、中央、ボックス内でもプレーできます。それがチームやリーグにフィットしていると思うし、結果を出せるようになっていった理由だと考えています」
―チームとしては、5位に終わったシーズンでした。来季に向けての思いは?
「最終節だけで5位という結果に終わったわけではないですから。僕らが認めないといけないのは、序盤の状態が非常に悪かったということです。もちろん、クラブ内での変革があり、監督、スタッフ、選手の出入りがありました。サッカースタイルを変えないといけなかったので、やむを得なかったところもあります。そこからどう挽回するのかをアントラーズで働く者がみな考えていたから、いい結果に結びついていったと思っています。ただ、来季はその言い訳ができなくなります。今年積み上げてきたものを、さらに質を上げて、高めていく。精度を高めることをやっていかないといけません。5位というのは序盤の悪い成績が招いたものです、来季はスタートダッシュを切って、継続して安定したパフォーマンスを出していきたいと思っています。それができれば、優勝争いに絡めると確信しています」
エヴェラウド 2020シーズンスタッツ
J1リーグ戦33試合2647分出場18得点
エヴェラウド(Everaldo)
1991年7月5日生まれ、29歳。181cm/80kg。ブラジル出身。グレミオ→カシアス・ド・スル→CSアラゴアーノ→フィゲレンセ→パイサンドゥ→ECアグア・サンタ→サンタクルスFC(以上、ブラジル)→アル・ファイサリー(サウジアラビア)→ノボリゾンチーノ→アトレチコ・ゴイアニエンセ(以上、ブラジル)→ケレタロFC(メキシコ)→シャペコエンセ(ブラジル)を経て今季、鹿島に加入。J1通算33試合出場18得点。
(BLOGOLA編集部)
2021/01/07 05:36