「小さいころから見ていたので、その場所に対する憧れはあった。でも、いまは金沢の選手なので、そこは別に……」
「ビッグスワンの舞台に立つことへの憧れはあった?」という問いかけに、長谷川巧は自分に言い聞かせるように、こう答えた。24日に新潟と対戦する金沢。長谷川がオレンジではないユニフォームをまとってデンカビッグスワンスタジアムのピッチに立つ。
現在は新潟からの期限付き移籍中ではあるものの、新潟戦にも出場できる契約となっている長谷川。気づいたら新潟のスクールでサッカーをやっていたという生粋のアルビレックスっ子にとって、ビッグスワンは特別な場所のはず。だからこそ、意識しすぎてしまわないように、「でも、いまは金沢の選手なので、そこは別に……」と加えたように思えたのは、少し穿ち過ぎなのだろうか。
小学生のころからアカデミーで育った選手がトップチームに昇格し、そこに籍を残しながら移籍元クラブと戦うというのは、現在では稀なケースだろう。そんな稀有な状況に身を置く長谷川は、前半戦の試合前に「思い入れが強いからこそ勝ちたい」と話すなど、やはりその思いはひとしおのようだった。
新潟時代はリーグ戦の出場がゼロだった長谷川だが、今季はすでに25試合に出場。柏の瀬川祐輔や甲府のドゥドゥ、京都の小屋松知哉など並み居るアタッカーと対戦して経験を積んできた。「J2のいいアタッカーとマッチアップして、自分が何ができるか、何ができないかを学んだ。だから成長していなければいけないし、力は徐々についていると思う。自信をもって勝負したい」。金沢で大きく成長した長谷川が、その姿をたくさんの新潟サポーターの前で披露する。
(金沢担当 村田亘)
2019/08/23 15:47