浦和の観客数が増えている。
昨季の同時期に比べて、今季のJ1ホーム平均観客動員数が約6,000人増(34,876人→40,650人)。5万人超えを記録した神戸戦(第8節)が含まれている影響もあるが、平日金曜夜開催の横浜FM戦(第6節/32,555人)、湘南戦(第12節/23,221人)もあったことを考えると、大きな進歩と言えるだろう。
その理由の一つに、今季から始まった新席種『企画シート』の存在がある。ファンコミュニティ部担当課長の柳紫乃さんは「まだまだ」と謙遜しながら、「実は何年も前から準備してきたんです」と説明してくれた。
・映画『翔んで埼玉』シート
・『伝説のスウィーツ』シート
・埼玉のロックフェス『VIVA LA ROCK』とコラボした『REDS ROCK!』シート
これらは、今年実施してきた『企画シート』の一部。浦和は今季、二つのミッションに取り組んできた。約2万人ものシーズンチケットホルダーが引き続き応援してくれる環境作り、そして新規顧客の創造という2点だ。安全・快適で、なおかつ熱気あるスタジアムを作ることは大前提。その上で、「いくら言葉で伝えても、きてもらって実感してもらう経験には敵わない。1回スタジアムにきたら、このすごさ、魅力を分かってもらえると思います!」と、柳さんは新規顧客に興味をもってもらえるような施策に取り組んできた。硬派な印象の浦和にとっては、ソフトに映る新しい風だ。
近く「企画の浦和」と呼ばれる日も?
『企画シート』への柳さんの熱意は、想像以上だった。「名産がないと思われがちな埼玉にも、こんなにいいものがあるというのを知ってほしかったんです!」。26日の第13節・広島戦で実施される『狭山茶シート』(販売期間終了)企画実現のためにも奔走。ただ、日本三大銘茶の一つ『狭山茶』が振る舞われるだけでは面白くない。どうするか…。
「ご協力いただいた茶屋の若旦那とは何度も打ち合わせして、疲労回復の効能があるカフェイン、血圧上昇を抑えるカテキンなどを配合した、レッズサポーターのための『浦和レッズ特製ブレンド茶』を作ってもらいました。埼玉県農林部、埼玉県茶業研究所、埼玉県茶業青年団の方々にも関わっていただいているんですよ。今年は、ちょうどいまがお茶の旬。できたての新茶をもってきていただきます」
広島戦の企画シートはこれだけではない。『花王』と協力した『ビオレUV清く正しく美しート』(販売期間終了)も設置されるという。柳さんは「築き上げてきた大事なものを守りつつ新しいことを始める。クライマックスは試合だからそれを楽しんでもらうための形を作りたい」と展望した。
ちなみに『土用丑の日』がある7月には名物の『浦和のうなぎシート』を企画していて、すでに柳さんも奔走中なのだとか。この勢い、すさまじい。「企画の浦和」と呼ばれる日も、そう遠くないかもしれない。(田中 直希)
(浦和担当 田中直希)
2019/05/24 18:30