28日、浦和の平川忠亮が2日前の引退発表に関する記者会見を行った。着座した平川の右前には07年のACL制覇時のボールが、左前には17年のACL制覇時のボールが添えられる。ACLを二度制覇した日本人選手は阿部勇樹と平川のみ。浦和一筋17年、その間で獲得した7つの主要タイトルやそれらの重要性を、年季の入ったボールと目新しいそれの二つが表していた。
30分弱の会見終わりで彼が話したように、予想よりも湿っぽい会見にはならなかった。それは、「後悔はない」と話した大卒後17年間の経験がそうしたのか。「次の試合、次の試合と(を見据えて)やってきた。満足してしまったら成長はない。次の大会、次のタイトルをとるということを考えてやってきた」という平川が、日々全力を尽くしてきたからこそだとも言えるだろう。
引退を意識したのは「試合に出る機会が減って、パフォーマンスが落ちているのを実感した2年前」だという。「選手として熱く湧いてくるものより、(引退した)次のことを考えるようになっていた」ことも大きかったそうだ。
07年ACL準決勝・城南戦のPK戦秘話や、親友の小野伸二(札幌)、同期入団の坪井慶介(山口)とのエピソードも語られ、終始和やかに進んだ今回の会見。ホーム最終節でセレモニーが行われる12月1日のFC東京戦に向けて、平川は「これまでとスタンスは変わらない。まずチームとして勝利することが大前提で、それをファン、サポーターの方にはサポートしてほしいというのが一番の気持ち。来てくれた人たちには今後どういうビジョンを描いているか、その思いを直接伝えていきたい」と述べた。
写真:田中直希
(浦和担当 田中直希)
2018/11/28 12:59