すでに今季限りの監督退任が発表されている讃岐・北野誠監督。地域リーグ時代からチームの指揮を執り、9年間にも及んだ讃岐での長期政権は今節をもってピリオドを打つこととなる。
選手らはその労をねぎらうように「キタさん(北野監督)がいたからこそ、このチームはJ2の舞台にいる。最後は勝ちで終わらせてあげたい」(高木和正)と恩義ある指揮官の花道を飾る気持ちを表すが、どんなときも親分肌で選手に接してきた北野監督の言葉は最後まで“らしさ”にあふれていた。
「(選手らは)俺のために戦うみたいなことを言ってくれているけど、選手たちにはそんなことは考えないでくれと言った。俺は選手たちに練習場ができるだの、クラブハウスができるだの、嘘をついて連れてきたし、引き止めたりしていた。だから俺のために戦うのはやめてくれと。自分たちとチームのために戦ってくれと言った」
讃岐はJ2昇格当初からチームの練習環境の大幅改善が課題に上がりながらも、遅々としてそれらが改善される兆候は見られず。それでも北野監督はクラブからの改善を約束する言葉を信じ、それを担保に選手を口説いてきた。
しかし、練習環境はJ2昇格5年目の今季になってもまったく改善されず。結果的に北野監督が“嘘をついた”という形になってしまっていたが、指揮官自身も約束を反古にされた側。それでも「それを選手に言ったのは俺だから」と言い訳はしなかった。
他力に頼るところが大きいものの、17日の今季最終戦に勝利すればチームはJ2残留の可能性も残される。
「最後まで現場の責任者としてしっかりやり切りたい」
北野監督は全力で尽くす“チーム”のために、讃岐でのラストマッチに全精力を注いで戦う。
(讃岐担当 松本隆志)
2018/11/16 11:56