前節、長崎のメンバー表からある選手の名前が消えた。
ある選手とは前田悠佑のこと。高木琢也監督就任時からチームに在籍する髙杉亮太と前田に対する指揮官の信頼は厚く、「最終的には髙杉と前田」と言われるほどシーズン終盤になれば、この二人がピッチに立っているのが長崎にとっては当たり前の光景だった。
しかし、前節、前田はメンバー入りできなかった。これは実に第4節・札幌戦以来、3度目のことだった。これには前田も「かなり悔しかった」と振り返った。しかし、その裏にあるのは個人の思いではない。「去年、昇格して試合に出る、出ないは関係なしにしてもチームに何とか貢献したかった。いろいろな貢献の仕方があると思いますけど、何とかベンチに入って、サポートできればなと思っていた。大事な試合でメンバーから外れたのでどうやって貢献しようかなと思いましたけど、なかなかできなかった」。チームへの貢献を第一に考えて行動してきたが、メンバー外になってそれをうまく実行することができなかった。そこからくる悔しさが前田にはあったようだ。
「うまくなりたい」がモットーの前田だが、J1という日本最高峰の舞台はその思いをさらに強くさせている。「試合の絡み方によっては凹むこともかなりありますけど、それは初めての経験だし、仕方ないこと。それをまたバネにしたほうが絶対にうまくなれる。これをより続けたいという思いです」。凹まされたことを思い返しながら苦笑いを浮かべてもすぐにサッカー少年のようにうまくなりたいという純粋な思いを口にする。だからこそ、J1に何としても残留したいという気持ちは強い。
34歳を迎えるシーズンで初めて経験したJ1の舞台。可能性がある限り、前田は残留をあきらめない。
(長崎担当 杉山文宣)
2018/11/15 18:04