神戸のルーキーMF郷家友太が存在感を高めている。明治安田J1第18節・柏戦で増山朝陽の決勝ゴールをアシストすると、前節・FC東京戦では両チームでトップの11.527㎞を走破。8日の練習をダメージのため回避したが、「もう大丈夫」と9日はフルメニューを消化し、今節の磐田撃破に燃えた。(写真は7月3日撮影)
開幕前からそのポテンシャルを吉田孝行監督が称賛してきた。コンスタントに出場機会を獲得。前半戦は思いきりの良さを発揮できなかったと話した背番号27だったが、W杯ロシア大会によるリーグ戦の中断期間に大きなきっかけをつかんだ。
直近の試合ではアシストを含め、相手ゴール前でチャンスに絡むシーンが増えている。「外国人選手の、前に行く姿勢を見ることができた。ターンとか、ゴール前に入っていくところとか、積極性を出せるようになってきた。高校時代のプレーを思い出しつつあるし、意識が変わったと思う」。青森山田高で10番を背負った郷家。中断期間中には、U-19日本代表のメンバーとしてロシアを訪れ、強豪国の真剣勝負を目の当たりにし、日本代表との練習試合で新たな刺激を受け止めた。
郷家には一つの目立ったプレーがある。足にボールを吸い付けるように、スルスルと前に運ぶドリブルだ。「僕の特徴というか、クセですね。自分にはスピードがないぶん、相手を隠しながらボールを取られないようにと考えている」。密集からポンと抜け出すタイミングに優れたプレーは、猛者がそろうチーム内でも屈指のセンスを持つ。
今節はアンドレス・イニエスタとルーカス・ポドルスキの夢の共演が実現するかに注目が集まり、チケットはすでに完売。「満員の中でサッカーができるのは幸せなこと。そこで観客を楽しませるプレーがしたいし、試合を決めるプレーを出せたらと思う」。ダイナミズムを陰に日向に支え、チームスタイルのパスサッカーを着実に前進させる。「若手だからって先輩についていくだけじゃダメ。神戸で戦っている自覚はあるし、負けは許されない」。使命感を胸に宿らせる。
ACL出場権の獲得を目指すチーム。世界を視野に入れる19歳。吉田チルドレンの急先鋒が、静かに刃を研いでいる。
写真:小野慶太
(神戸担当 小野慶太)
2018/08/10 13:56