いよいよ14日にW杯ロシア大会が開幕する。アルゼンチン代表歴をもつ千葉のフアン・エスナイデル監督に優勝国予想を尋ねると、「どの国が勝つかは分からない。ただ、アルゼンチンに優勝して“ほしい”とは思っている。“ほしい”だ」と1986年のメキシコ大会以来となる母国優勝を願う。
その理由の一つに挙げたのは「メッシに優勝してほしいから」。そして、こう続ける。
「彼はそれに値する。彼以外の選手が値しないことではない。私にとってはすでに歴史上でトップ中のトップの選手。周りからは(メッシの輝かしいキャリアの中で)W杯優勝だけが足りないと思われているかもしれない。彼のコメントから彼自身もそう思っているとうかがえる。だから優勝してほしい」
その言葉の裏には強い愛国心と母国の英雄への気遣いがある。
自身にとってのW杯の思い出に話が及ぶと、少し寂しげな表情を浮かべた。それは98年の出来事。フランス大会前に代表招集されたが、ケガのため、本戦のメンバーから漏れたつらい経験を明かし、「W杯でプレーできなかったことが(現役時代の)唯一の心残り」と振り返る。
それから20年。異国で監督業に身を置くいま、新たな夢ができた。
「いつかのタイミングで、どこかの国の監督としてW杯に出たい。アルゼンチンでできることは夢だし、スタッフとしてでも参加してみたい」
「それが日本だったら」と問われると、「願ってもないこと。いい選手がいるのは間違いない。いい選手がいれば、自分のやりたいことが表現できるし、それが監督としての私の夢」とも。
そして、秘めていた心の内を明かし、照れ臭くなったのか、最後にこう締めくくった。
「終わった話だし、(監督としての夢は)くだらない話。私は日曜日に勝ちたいだけです」
(千葉担当 大林洋平)
2018/06/08 20:04