「兄弟、家族とかは関係なく、ジェフの誇りを持ってピッチに立つ」
千葉のMF佐藤勇人は26日のJ1昇格プレーオフ準決勝・名古屋戦を前に、心境をこう吐露した。
対峙する名古屋にはキャプテンマークを巻く双子の弟・寿人がいる。どちらかは“明”、どちらかは“暗”の結末が待ち受ける一戦での兄弟対決。兄・勇人に葛藤はないのか。
「うちの両親にすごく複雑だという連絡はもらったし、寿人は自分がいるジェフをずっと応援してくれて、(過去の)プレーオフで悔しい思いをしたときはすぐに連絡をくれた。ただ、アイツ自身も強い覚悟を持って名古屋に行っている。寿人もそうだと思うが、家族というのは捨てて、クラブの一員として、結果を出す立場として、ピッチに立たなければいけない」
紡ぐ言葉はすべてプロフェッショナル。いや無意識かもしれないが、そう徹さなければ、あまりにも非情な一戦に平常心で臨めないことを悟っているようにも映った。
そして、自身としてもプレーオフは4度目の舞台となる。12年から3年連続で進んだプレーオフはいずれも辛酸を嘗(な)めた。「自分はプレーオフの厳しさを知っているのと、悔しい思いも持っている。ただ、(これまでと)同じようにものすごいワクワク感とやってやろうという気持ちが強い」と、三度目ならぬ“四度目の正直”へ並々ならぬ意欲を口にする。
その言葉の裏には、クラブの歴史を知り尽くしているからこその熱い想いもある。「(最終節・)横浜FCに勝ってプレーオフ(進出)が決まったときに、以前、ジェフで戦ったメンバーの何人からも『頑張ってください』と連絡をもらった。自分としては昇格できなった彼らのぶんまで今回、勝負したい思いがかなり強い。(クラブに)いままで関わってくれた人たちのためにも、まずは名古屋に勝って次につなげたい」。背番号7は交錯する数多くの人の思いを背負い、決戦に挑む。
(千葉担当 大林洋平)
2017/11/24 22:56