3シーズンぶりとなる4連勝中の千葉において、満身創痍の主将・近藤直也の奮闘ぶりが敢然と輝きを放っている。
近藤が左足首を負傷したのが9月24日のJ2第34節・長崎戦の前半。ハーフタイムに退き、翌節の京都戦は欠場した。ところが、練習もままならず足首の状態が万全でない中、第36節・岡山戦で先発復帰すると、同点ゴールを決めるなど存在感を示し、そこから連勝街道が始まった。
「練習もしていないし、全然コンディションが上がらない。自分のプレーに対しての不満というのがもちろん出てきている。本当は(プレッシャーに)行けるのにとか、ヘディングで勝てるのにとか、ジャンプのときに足を気にして(ボールが)取れないとか…。細かいところで言えばいろいろある。ただ、ふがいないところはあるが、チームが勝つことが一番だから、ポジティブ(に捉えている)。いまは自分の100%を出せていないけれど、出せる中で全力を尽くしてチームに貢献できればいい」
常日頃から自分を律し、自身に人一倍厳しい近藤だからこそ、パフォーマンスへの満足感はない。不運は重なるもので、前節・大分戦では左ふくらはぎを打撲するなど、まだ痛みが残る。一方で欠場の選択肢は、毛頭ない。バツが悪そうに「自分で言うのもなんだが…」と前置きした上でこう続ける。
「(CBは)毎試合代わるようなポジションではない。そこが代わってしまうと、チーム全体の軸がちょっとブレるというか。もちろん俺よりコンディションの良い選手が入った方が良いパフォーマンスを出せるかもしれないが、全体で見ると、やっぱりコンディションが100%でなくても、いたほうが安心感(が出る)というか。キャプテンで中心選手だから、みんなに与える影響は大きいという意味でもやっぱり出続ける」
代えの利かない存在という自覚と、主将としての責任感。それらに突き動かされ、近藤はピッチに立ち続けている。残りは3試合。J1昇格プレーオフに進めるか否かは、サッカーの神様のみぞ知るところだが、精神状態は良い意味でフラットだ。
「調子が上がってきて可能性がある中、あまり先を見ずに、自分たちのサッカーを出しながら、結果を残せればいい。浮ついた気持ちもダメだし、悲壮感が出て良いプレーできないというのも良くない。バランスの良い気持ちの状態で(試合に)臨む」
泰然自若――。そこにプロ16年目の男の矜持を見た。
(千葉担当 大林洋平)
2017/11/01 19:09