前節・福岡戦で2度のPKをしのぐなど、ウノゼロを達成して千葉を3連勝に導き、本紙のJ2週間MVPにも選出されたGK佐藤優也。PKストップからのカウンターで決勝点が生まれるなど、まさに獅子奮迅の活躍だった。
しかしそれ以上に、印象深かったのが試合後の振る舞いだ。PKを2度外してしまい、試合終了直前にはこの日2枚目の警告で退場処分を受け、ピッチ上で立ち上がることができずにいた福岡のウェリントン。その失意の相手エースにそっと寄り添った佐藤優は、こう言葉をかけていた。
「大丈夫。まだゲームはあるよ」
その真意、ウェリントンとの関係性について、佐藤優はこう続ける。
「ウェリ(ウェリントン)とは今年、プライベートでディズニーランドのホテルでたまたま一緒になって、他愛もなく話したこともある。(15年の)ヴェルディ時代には際どいクロスからのヘディングを止めたり、自分が当たりまくってウェリから褒めてもらえたこともあった。一度も同じチームになったことはないけど、割りと仲の良いブラジル人という感覚でずっといた」
だからこそ、人目をはばからず涙にくれるライバルを励まさずにはいられなかった。そして、そこに今季、浮き沈みのあった自身の思いも重なった。
「自分も今年、大きいミスをして、失点して、勝てるゲームを勝てなかったりしてきた。本当に悔しい思いをした。自分はそういう思いを分かっているつもりでいる。福岡は自分たちより良い位置にいて、まだまだチャンスはあるし、別に終わったわけじゃない。本人の耳にどう入っているかは分からないけど、自分はそういう思いを込めて声をかけました」
さらにウェリントンの1枚目の警告につながった、自身に足裏を見せた行為についても言及。「ウェリは自分がボール持っているとスライディングしてくるじゃないですか。『(試合中にも)まだ早い、まだ早い』と話していた。あれは愛嬌みたいなもの」。決して褒められた行為ではないが、ニ人の関係性があったからこその所作だと慮った。
結果は残酷で、殊勲の守護神と“戦犯”のエースという事実が変わることはないが、激闘の裏にはこんなニ人のドラマがあった。
(千葉担当 大林洋平)
2017/10/25 19:10